研究課題/領域番号 |
24540189
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 兵庫県立大学 |
研究代表者 |
岩崎 千里 兵庫県立大学, 物質理学研究科, 教授 (30028261)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 国際研究者交流(ドイツ) / ベキ零リー群 / 退化楕円型作用素 / 基本解 / ゼータ関数 / フォッカープランク作用素 / 放物型方程式 |
研究概要 |
(I)交付申請書に記載された研究目的は大きく2項目に分かれている。そのうちのフォッカープランク方程式の研究に関しては、その基礎となる基本解の具体的で正確な形を得ることができた。この成果は,ポツダムで2012年に開催されたワークショップで発表し、さらにフィンランドで2012年に開催された国際研究集会で発表するとともに、論文として出版される予定である。 (II)もう一つの大きな研究目的であるsub-elliptic 作用素に対する熱方程式の基本解の構成は困難であることが判明したので、2次以上の退化した楕円形作用素の基本解を構成することを目指した。これに関しては,わずかな作用素についてその基本解の正確な形が得られているだけである。Grushin型と呼ばれている退化が高次の作用素に関して、具体形を得る統一的な方法を考案した。これらの結果は,2013年の台湾および、ドイツでのワーショップで発表した。現在これに関して論文を執筆中である。 (III)球面上のsub-elliptic 作用素に関する共同研究結果が出版された. (IV)(II)で考察しているGrushin 型作用素に対するAction function の構成についての研究結果が出版された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
フォッカープランク方程式については、具体的な基本解の形だけでなく、固有関数展開も具体的に求めることができた。これは自己共役でない作用素で固有関数展開が求められた少ない例の一つである。これらの結果は、3年間で進める計画であった研究目的の一つである。 高次の退化した方程式に関しては基本解の具体的な形を求めている例は非常に少ない。それを、特殊関数である変形ベッセル関数を使って表示することを経由することで、明確な段階を重ねることにより、基本解の構成に成功した。これは当初の研究目的とは違ったものであるが、元の研究目的のひとつであるsub-elliptic 作用素に対する基本解の構成に有用となると思える。
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今後の研究の推進方策 |
1。Grushin 型方程式の基本解が、予想より明確な形として得ることができた。これにより、さらに助変数を含んだ作用素に対する基本解も明確な形で構成出来ると予想できる。その基本解の、助変数に関する解析性を論じる。これをKohn-Laplacian に応用することも目指す. 2。球面のうち,大域的に定義されたベクトル場がその交換子とともに接空間全てを張るのはその次元が3、7、15に限ることを見いだした。7次元,15次元の球面について、それらの大域的に定義されたベクトル場の2乗和の作るsub-elliptic 作用素に関して固有値,固有関数を調べる。この様な作用素に対応する熱方程式の基本解の構成を試みる為に,まず、ユークリッド空間でのモデルとなる作用素の基本解の構成を目指す。この作用素はクリフォーオド代数を使って表示されるが、このモデルはnilpotentでないので、今まで考察してきたNilmanifold上のsub-elliptic 作用素に対応する熱方程式と大きく異なる。その為,先ず3次元で上記の考察を実施する.その際にはSU(2)において積分形で基本解を表示している論文が参考になると予想される。これらの問題については現在までの共同研究の形を進める。
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次年度の研究費の使用計画 |
おもに研究費は海外研修の為に使用する。 1。5月にミュンヘンに一週間滞在して、共同研究を行う。 2。8月にポーランドで開催されるISAAC Congress に参加し,その後、ドイツのワークショップに参加する。いずれも研究結果について講演を行う。 3。2014年3月にポツダムの研究集会に参加して、講演を行う。その機会を利用して共同研究を実施する。 4。山口で開催予定の研究集会に参加して、研究結果の発表を行う。
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