研究課題/領域番号 |
24540190
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 日本工業大学 |
研究代表者 |
大野 修一 日本工業大学, 工学部, 准教授 (20265367)
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研究分担者 |
泉池 敬司 新潟大学, 自然科学系, 教授 (80120963)
細川 卓也 茨城大学, 工学部, 准教授 (90553579)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 合成作用素 / 乗法作用素 / Hardy空間 / Bergman空間 / Bloch空間 |
研究概要 |
1 研究分担者の泉池敬司教授との研究で次のような結果を得た。(1)単位円板上の有界解析関数空間H∞との比較として、円周上に連続的に拡張できる解析関数からなるdisk環上の荷重合成作用素の空間の弧状連結成分はH∞の場合と異なる結果が得られた。それは合成作用素のシンボルの関数が円周上で連続であるため、絶対値が1となる集合に場合分けが泌要であることによる。(2)H∞やdisk環を円周上の有界関数空間の部分空間と見るという新しい観点から、荷重合成作用素の連結成分について、作用素のoperator norm 位相と essential operator norm 位相でそれぞれ特徴付けた。(3)有界調和、解析関数空間上の荷重合成作用素の位相構造を考えるとき、これら関数空間をGelfand変換により、H∞の極大イデアル空間上の連続関数空間に埋め込んで議論を進めていたが、この議論は一般的になじみが薄い。そこで、関数の単位円内の挙動と円周上の動きの関数論的性質により、2つの荷重合成作用素の差のnorm 評価を与え、差のcompact 性を別証した。新しいアプローチと道具を提供している。 2 海外研究協力者の Karel Stroethoffと荷重 Dirichlet 空間から Bloch-type 空間への荷重合成作用素の有界性,compact 性の特徴付けを行った。具体的な荷重 Dirichlet 空間の再生核を計算した結果は興味深いものとなろう。 3 Hilbert Hardy 空間上の合成作用素のHilbert-Schmidtness に関連して Hardy 空間とDirichlet 空間間のHilbert-Schmidtness も特徴付けられていたが、その間の有界性、compact 性が調べられていないことが判明した。そのため、その完全なる特徴付けを行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1 研究分担者の泉池敬司教授に泉池佑子も加えた共著として、disk環上の荷重合成作用素の位相構造については、「Path connected components in weighted composition operators on the disk algebra」とまとめ、Math.Proc. Irish Acad.に受理された。有界解析関数空間やdisk環を円周上の有界関数空間の部分空間と見た結果については、「Topological properties of path connected components in spaces of weighted composition operators into L∞」としてまとめ、Rocky Mountain J.に、関数の単位円内の挙動と円周上の動きを対比した関数論的性質で荷重合成作用素の差のcompact 性を別証した結果は、「Boundary vs. interior conditions associated with weighted composition operators」とまとめ、それぞれ投稿した。 2 Bloch 空間における合成作用素の位相構造については、研究分担者の細川准教授と主にAlexsandorv測度を道具として解析を試みたが、完成には至らなかった。 3 Karel Stroethoff(米・Montana 大)との結果については、まとめ、投稿の準備に入った。 4 Hardy 空間と Dirichlet 空間の間で作用する合成作用素については、「Composition operators related to the Dirichlet space」としてまとめ、投稿した。
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今後の研究の推進方策 |
1. little Bloch 空間と有界解析関数空間 の共通部分である解析関数空間 をはじめとした、 disk 環と有界解析関数空間 の間にある閉部分環や有界解析関数空間と連続関数全体から生成される関数空間の上で,(荷重)合成作用素の有界性,コンパクト性,位相構造問題を考える。この設定は、1980年から90年代にかけて活発に研究された Douglas 環 との関連からしても実りある結果,発展が予想される。研究分担者の泉池教授と共に,各々が日本工業大,新潟大学への出張を行い,共同研究を押し進める。随時,研究協力者の瀬戸講師や泉池耕平講師との打ち合わせ討議も行う。 2. 研究分担者の細川准教授とは,Bloch 空間から Hilbert Hardy 空間への2つの合成作用素の差の有界性,compact性を特徴づける。この問題は,さらに一般的な荷重Bergman 空間へ発展させたい。この課題についても,茨城大学工学部,日本工業大間で出張を行い,研究協力者の植木准教授ともあわせてセミナーを実施し,討議を行う。 また,問題の難解さ等で研究が当初の計画どおりに進まない可能性も考えられるが, 新たな問題展開が出てくる可能性も高い。 むしろ,本研究課題に関係した新たな問題を各分担者,研究協力者らが提起することが考えられる。そうしたときの共同研究体制も十分整っているといえる。
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次年度の研究費の使用計画 |
「次年度使用額」は旅費の端数として生じたものである。少額のため次年度の旅費内に十分組み込まれるであろう。予定の研究のために, 研究分担者,研究協力者と連絡を取りあい,各所属機関への出張で共同研究を押し進める。そのための旅費をまず考えている。資料として, 解析関数空間及び作用素論関係図書およびレクチャーノート等を購入し, 議論,問題作成に役立てる。また、研究の成果の発表,知識取得のために,学会, 研究集会に参加する。 関連分野の知識の交流および獲得のための研究集会「宮代セミナー」を日本工業大学において開催する。
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