研究課題/領域番号 |
24540197
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研究機関 | 大阪電気通信大学 |
研究代表者 |
萬代 武史 大阪電気通信大学, 工学部, 教授 (10181843)
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研究分担者 |
芦野 隆一 大阪教育大学, 教育学部, 教授 (80249490)
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キーワード | ウェーブレット / スケーリング関数 / ヒルベルト変換 / 不確定性原理 / 信号源分離 |
研究概要 |
一般の直交スケーリング関数と直交ウェーブレット関数のペアにおいて,平行移動の一種の変形であるユニタリ作用素を定義し,これとヒルベルト変換の拡張であるユニタリ作用素(fractional Hilbert transform)のそれぞれをスケーリング関数とウェーブレット関数に作用させたものが,MRA理論に基づく自然な対応をなすことをすでに証明していたが,これらの作用素を作用させたものの局在性が重要な問題点となっていた.例を調べて笑ることを理論的に証明する必要があったが,これらの局在性はウェーブレット関数のゼロモーメント条件と深くかかわることが明らかとなり,ゼロモーメント条件のもとで局在性が保たれることが証明できた.この結果は日本数学会の欧文論文誌に投稿し,掲載が決定した.この結果については,双直交の場合についてもある程度拡張できることが分かってきている. ウェーブレット変換に関する不確定性原理について,すでに発表されている他研究者による結果の証明の大きな穴についてはいまだ解明できていない. 信号源分離については,信号源(現在は画像を考えている)の単純な線形和ではなく,平行移動したものの線形和で平行移動の大きさも未知の場合(spatio-temporal mixing model)について,連続マルチウェーブレット変換の相互相関を用いた手法を考案した.具体的な画像でシミュレーションを行い,有効性を確認した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ウェーブレット関数のヒルベルト変換を引き起こすスケーリング関数のユニタリ変換については,その性質が明らかになり,当初の思惑以上に良い性質をもつことが明らかになった. 一方,不確定性原理に関わる他研究者の結果の証明の穴は,当初思っていたより難しい問題であることがはっきりしつつあり,当初の思惑通りの解決は難しいと思われる.信号源分離については着実に進展している.
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今後の研究の推進方策 |
ウェーブレットに関する不確定性原理については片側中心と片側幅を考えた場合のフーリエ変換の不確定性原理について更なる考察を行い,ウェーブレット変換の場合に応用する.その他,以下の課題について昨年度に引き続き考察を進める. 1. 解析信号を使ったエンベロープ・瞬間周波数の妥当性の検討 2. 帯域制限信号の空間と数列空間の同型性(サンプリング定理) 3. 離散ウェーブレット変換の平行移動不変性について 4. 信号源分離の原理について また,各種応用に現れる数学的問題(数学的にきちんと定式化・証明がされていない問題)について情報収集に努める.
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次年度の研究費の使用計画 |
海外出張に行く予定を取りやめ,大学での研究及び国内での出張を重視したため,旅費に余裕が生じた. 新たな配分額100万円と合わせて,物品,旅費などに使用する.特に,最初の予定より積極的に研究会などに出席し,旅費にあてる予定である.
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