研究実績の概要 |
確率波動方程式において,確率摂動項 B(t,X(t),Y(t))dW(t)を持つ方程式の解の存在と爆発についての研究結果を発表した。その成果は Explosion of solutions to stochastic wave equations with multiplicative noise のタイトルで Nonlinear analysis 117(2015), 47-64 に掲載された。 非確率的な偏微分方程式の解の爆発について、GeorgievとTodorova(1994)の研究はよく知られている。また、Messaoudi, Vitillaro, Said-Houarも重要な研究をしている。 ところで、物理学、化学、生物学、工学などの自然科学や金融などの経済学の多くの分野で複雑な現象を記述するために、重要なモデルを与える確率偏微分方程式の解の存在とその性質の研究は近年増々重要となつている。 最近、Bo, Tang と Wang(2008) は線形なdamping 項と非線形なsource項を持つ加法的確率摂動項をもつ確率非線形波動方程式の解の爆発を研究した。更に、Gao, Liang と Guo(2013)は加法的な確率摂動項をもつ確率非線形波動方程式の解の局所的存在、大域的存在と爆発を研究した。しかし、残念なことに、彼らはより重要な、興味のある乗法的な確率摂動項をもつ確率非線形波動方程式の場合については、非線形項が引き起こす、ある困難ゆえに研究しなかった。上記の論文によって、より複雑な確率摂動項の場合の研究により、多くの結果を含む定理が証明されている。
|