研究課題/領域番号 |
24540199
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研究機関 | 防衛大学校(総合教育学群、人文社会科学群、応用科学群、電気情報学群及びシステム工 |
研究代表者 |
渡邉 宏太郎 防衛大学校(総合教育学群、人文社会科学群、応用科学群、電気情報学群及びシステム工, 電気情報学群, 教授 (30546057)
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研究分担者 |
亀高 惟倫 大阪大学, その他部局等, 名誉教授 (00047218)
塩路 直樹 横浜国立大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (50215943)
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キーワード | 球対称性 / 一意性 / Pohozaev恒等式 / ソボレフ不等式 / 最良定数 |
研究概要 |
(1)微分幾何学的手法の導入によるGidas-Ni-Nirenbergの理論の適用範囲の拡張 (2)関数対称化の方法によるソボレフ型不等式の精密化とp-ラプラス作用素を含む半分線形方程式への応用 について研究計画を立案した. 計画2年目にあたるが,(1)については,研究分担者の塩路直樹氏と共に研究を進め,正値球対称解の一意性に関する研究に発展した.方法としては,Pohozaev恒等式の一般化を行う方法に基づく.塩路氏と研究を進めた方法は,M.K Kwong, Arch. Ration. Mech. Anal. (1989)の方法に類似するが,E. Yanagida, Arch. Ration. Mech. Anal. (1991)でとられた方法を組み合わせており,その簡明化を行っている.特にスカラーフィールド方程式,松隈方程式,調和ポテンシャルをもつ非線形シュレディンガー方程式,球面上のBrezis-Nirenberg問題,Haraux-Weissler方程式の正値球対称解の解の一意性の問題に適用できることを示した. (2)については,グラフ上のソボレフ型不等式の最良定数を求める研究に発展した.この研究では正多面体グラフなど対称性をもつグラフについて調べた.また,Lp型ソボレフ不等式の最良定数を求める問題についても研究を行った.具体的には,境界条件がDirichlet-Neumann型のもの,周期型,Neumann型のものについて調べた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
(1)微分幾何学的手法の導入によるGidas-Ni-Nirenbergの理論の適用範囲の拡張 については,正値球対称性を示した後,必要となる正値球対称解の一意性についてPohozaev恒等式を一般化する方法により,従来得られていた結果を拡張することができた.また,その結果を用いて一意解の対応する汎関数に関する非退化性を示すという結果をいくつかの場合について得ている. (2)関数数対称化の方法によるソボレフ型不等式の精密化とp-ラプラス作用素を含む半分線形方程式への応用 については,境界条件がDirichlet-Neumann型のもの,周期型,Neumann型のものについて対応する関数空間におけるLp型ソボレフ不等式の最良定数を得ることができた.また,弾性曲線のエネルギー最小化問題をp-ラプラス作用素が現れる問題に拡張し,幾つかの結果を得ることができた. 上記の理由により本研究はおおむね順調に進展していると言える.
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今後の研究の推進方策 |
(1)の課題については,双曲空間におけるBrezis-Nirenberg問題,球面上のへノン方程式の解の球対称性および球対称解の一意性,非退化性について研究を進めたいと考えている. (2)の課題については,Lpソボレフ不等式の最良定数の残された問題について考察して行くことが一つの課題である.最近H. Lou氏により残された問題の1つである両端Dirichletの場合の解決が報告されたが,Lou氏の方法ではなく申請者たちのグループによる関数対称化の方法で対応できないかどうかを見極めたいと考えている.また,弾性曲線のエネルギー最小化問題ではLp化した弾性エネルギーを扱うが,この問題を球面上や双曲空間などの定曲率空間上で考察し,J. Langer, D. Singer等によって得られた結果を拡張して行きたいと考えている.
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次年度の研究費の使用計画 |
当該年度に予定していた海外研究集会への参加が,勤務との関係で見送られたため,旅費が予定額を下回ってしまったことが主な理由になります.また,参加を計画していた(参加しました)海外研究集会の日程が直前まではっきりせず,当該助成金を残念ながら有効に活用できなかったことも挙げられます. 研究成果発表時に用いるノート型PCの購入,また論文作成時,図の作成に用いるソフトウエアの購入,国内・国外研究集会への参加のための旅費・参加費として活用する.
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