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2012 年度 実施状況報告書

非線形移流拡散方程式系に対する爆発解と時間大域解に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 24540201
研究種目

基盤研究(C)

研究機関室蘭工業大学

研究代表者

黒木場 正城  室蘭工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (60291837)

研究期間 (年度) 2012-04-01 – 2016-03-31
キーワード移流拡散方程式 / 爆発解 / 走化性 / 粘菌 / 時間大域解 / 空間2次元 / 閾値
研究概要

本研究の非線形移流拡散方程式系は,空間2次元の解の構造に微細な特徴が現れる問題である.
例えば代表的な1粒子(種類)系の移流拡散方程式系である粘菌方程式系は,初期値の臨界点が存在し, 臨界点より大きい初期値では解が有限時間内に爆発し,臨界点より小さい初期値では解が時間大域的に存在する.また半導体方程式系などの2粒子系の移流拡散方程式系についても類似の構造が見られる.2003年Kurokiba-Ogawaの研究では,ポテンシャル場に正に反応する粒子と負に反応する2粒子の動きを記述する2つの移流拡散方程式と1つの楕円型方程式からなる全空間2次元移流拡散方程式系に対して,2次モーメントの方法を使って,初期条件の差が十分大きい場合に,2粒子をそれぞれの動きを示す解の和が,有限時刻で爆発することを示した.
また2006年Nagai-Ogawa-Kurokibaの研究では,この方程式系の初期値が十分小さい場合には,その正値球対称解が時間大域的に存在し,しかも一様有界性をもつ事を示した.さらに2009年にはE.Espejo-A.Stevens-J.J.L.Velazquesの研究によって,この空間2次元移流拡散方程式系の爆発解に対して,2粒子の未知関数に関する同時-非同時爆発の分類が行われた.
そこで研究代表者は2012年度の研究において,さらに微細な解の構造を調べるため鈴木貴教授(大阪大学),E.E.A. Espejo氏と共同研究を行い,上記の有界領域における2次元移流拡散方程式系の初期値境界値問題に対して,局在化の方法による爆発解の解析及び2005年I.Shafrir, G.Wolanskyによる対数型Hady-Little-Woodの不等式の適用で,2つの解が同時に爆発する際,それぞれ同種粒子の集団に分離する事を証明した.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本研究(交付期間4年)では,初年度から3年間の期間で,2粒子系を記述する空間2次元非線形移流拡散方程式系の初期値―境界値問題及び初期値問題に対して,①正値解の爆発解-時間大域解の構造,②爆発点の個数,爆発解の特異性,③2粒子系の爆発解の爆発時刻に関する同時-非同時性の構造の3つ研究課題に取り組む計画を立てている.これらの研究課題はそれぞれ密接に関連しており,それぞれの研究課題の進行によって互いに数学的技術の発展のもと,大きな進展が期待できる.
平成24年度の研究活動で取り組んだ,鈴木貴教授(大阪大学),E.Espejo氏との共同研究である,有界領域における2次元移流拡散方程式系の初期値境界値問題の研究は,2粒子系の解が同時に爆発する際それぞれの同種粒子の集団に分離するという爆発解-時間大域解の構造をより詳細に示した結果であり,2粒子系の空間2次元非線形移流拡散方程式系に対する爆発機構の研究に多いに役立つものと考えられる.

今後の研究の推進方策

本研究では,2粒子系の空間2次元非線形移流拡散方程式系の初期値–境界値問題及び初期値問題に対する爆発解-時間大域解の構造,爆発機構の研究に加えて,粒子の種類を一般化した非線形移流拡散方程式系に対する爆発解-時間大域解の構造,爆発機構について研究を行なう.そのために共同研究者である小川卓克教授(東北大),鈴木貴教授(大阪大学)と,非線形移流拡散方程式系について詳しい研究打合せを行なう.さらに本研究と関係のある非線形偏微分方程式の研究集会,セミナーに出席し,成果発表,研究者との討論,情報交換を行なう.また室蘭工業大学において研究集会を企画し,非線形偏微分方程式について効果的に情報交換を行なう.

次年度の研究費の使用計画

研究打ち合せ、国内外の研究集会参加の頻度を昨年度以上に増やして、研究活動を行う.

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2013

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件)

  • [雑誌論文] Blowup Threshold and Cllapse Mass Separation for a Drift-Diffusion System in Space-Dimension Two2013

    • 著者名/発表者名
      Elio Espejo, Masaki Kurokiba, Takashi Suzuki
    • 雑誌名

      Communications on Pure and Applied Analysis

      巻: Vol.12 ページ: 掲載予定

    • 査読あり

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公開日: 2014-07-24  

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