研究実績の概要 |
本年度は次のような非線型反応拡散方程式 (P) u_t=du_{xx}+ g(x)(1-u) を1次元区間(0,1)上,ノイマンゼロ境界条件で考えた.ここで d は微小係数,pは1以上の数,g(x) はなめらかな関数で場所により正と負両方の符号をとり,u は2つの対立遺伝子のうち一方の遺伝子頻度をあらわす.自明な定数解以外に非定数定常解を見つけることを目的とする.以下のような結果が得られた. 結果1(遷移層の位置).(P)の非定数定常解は S={ x∈(0,1) │ g(x)=0 } の近傍のみで遷移層をもち,他の場所では0か1に近い値をとる. 結果2(安定性)遷移層をもつ定常解はすべて線型安定である これら2つの予想に錐上の写像度の理論を適用すると次の予想が得られる.Gをg(x)の(0,1)区間上積分とする.結果2の証明では非定数定常解における線形化固有値問題を考え,その最小固有値が正であることを漸近解析的方法を用いて証明した. 結果3(一意性)Gが非負ならば結果の非定数定常解が一意である.一方 Gが負ならば結果1の非定数定常解が1つと,そのほかに0の近傍に非定数定常解が少なくとももう1つ存在する. これらの結果は The Uniqueness of Indefinite Nonlinear Diffusion Problem in Population Genetics (投稿中)に発表した.
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