研究課題/領域番号 |
24540218
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研究機関 | 芝浦工業大学 |
研究代表者 |
竹内 慎吾 芝浦工業大学, システム理工学部, 准教授 (00333021)
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キーワード | 退化特異 / 一般化ヤコビ楕円関数 / 一般化楕円積分 / p-Laplacian / 基底 / 特殊関数 |
研究概要 |
25年度は一般化ヤコビ楕円関数に関する性質を調べ、二つの論文を著した。一般化ヤコビ楕円関数とは、2012年に研究代表者によって定義された超越関数であり、ヤコビ楕円関数と一般化三角関数を併せ持つ新しい関数族である。 一つ目は一般化ヤコビ楕円関数についてこれまで研究代表者が得てきた諸性質をまとめた論文で、2013年6月に数理解析研究所の講究録に掲載された。これは2012年11月に数理解析研究所で開催された研究集会「常微分方程式の大域的定性理論とその応用」(研究代表者:田中敏)の報告集である。最近ある研究者による講演で、一般化ヤコビ楕円関数を応用し、この論文を引用したものがあったことから、一定の価値があると考えている。 二つ目は周期の異なる一般化ヤコビ楕円関数からなる関数族が、任意のルベーグ空間で基底を生成することを証明した論文である。一般化三角関数族については Binding et al. (2006)、Edmunds et al. (2012) がある条件下のもとにそれらが基底であることを証明しており、本論文はその一般化ヤコビ楕円関数への拡張である。特に特別な場合として古典的なヤコビ楕円関数族が基底を生成することも証明されている。プレプリント arXiv preprint arXiv:1310.0597 の段階で他の論文にも引用されており、現在は Communications on Pure and Applied Analysis に受理されている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
一般化ヤコビ楕円関数と一般化楕円積分についての研究は進展しているが、本研究課題の研究対象である退化特異型微分方程式の研究への応用には至っていない。ただしそれ自身、関数論の分野ではそれなりの評価を受けているようなので、価値はあると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
現在は一般化楕円積分(p-楕円積分)についての研究を進めている。この研究は、算術幾何平均を用いた Gauss-Legendre 法によるπの近似計算を念頭に置いて、一般化されたπ_pに関してもその類似を得ようという計画である。現在は第1種と第2種の一般化楕円積分について Legendre の関係式などを得ている。数論・超幾何関数・可積分系と関係が深い研究で、非線形微分方程式の新しい研究の方向である可能性を感じている。
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次年度の研究費の使用計画 |
授業等の関係で、計画していたほど研究集会に参加できなかったことが挙げられる。 今年度は7月にマドリードで行われる国際会議に参加するため、海外出張に充てる計画がある。
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