研究課題/領域番号 |
24540219
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
室谷 義昭 早稲田大学, 理工学術院, 名誉教授 (90063718)
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キーワード | 関数方程式の大域理論 / 数理モデル / 感染症モデル / 大域漸近安定性 / Lyapunov 関数法 |
研究概要 |
次年度では、これまでの成果を、更に発展させ、まず、コンピュータ virus モデルへの応用として、nonresident computer virus model の大域漸近安定性理論に、Lyapunov 関数法や単調法による両面からその解析に取り組み、最初の成果として、graded cure rate とincomplete recovery rate 付きの SIRS モデルの完全解析に成功した([6])。特に、SIRS モデルのこれまでの Lyapunov 関数法をさらに発展させた、nonresident computer virus model の、本格的論文が MMAS に受理され([5])、単調法による部分は、AMSC に受理され([4]) 、成果にすることができた。 一方、初年度末のポルトガル出張以来の、リスボン大学 Teresa Faria 准教授との、feedback controls をもつ Lotka-Volterra system での共同研究の最初の成果は Proceedings of the Royal Society of Edinburgh: Section A に受理され([3])、この成果を挙げる研究の中で、正値解の存在性や、permanence の新しい type の証明手法など、多くの基礎的部分の理論を習得できたのは大きな成果で、以後の研究に寄与できる。 また、patch structure を持つグループ感染症モデルの大域漸近安定性に着目し、國谷紀良博士と共同研究で、グループ感染症 SIS モデルの大域漸近安定性で成果を得る事ができた([2])。さらに、patch structure をもつ遅れ付き nonlinear Lotka-Volterra system の大域漸近安定性で、AMC に受理された([1])。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
次年度では、SIRS 感染症モデルより複雑なモデルである、nonresident computer virus model の大域漸近安定性に挑み、Lyapunov 関数法と単調法両方の解析で、成果を出すことが出来、また、ポルトガルの Teresa Faria 准教授との共同研究で、feedback controls をもつ、Lotka-Volterra system の、また、國谷紀良博士との共同研究で、patch structure をもつ、グループ SIS 感染症モデルや、さらに、patch structure をもつ、遅れ付き nonlineear Lotka-Volterra system への応用で、大域漸近安定性で成果を出すことが出来た。これらにより、感染症数理モデルの基本再生産数に関する大域漸近安定性理論をさらに発展させ、多くの成果を挙げる事ができた。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度の26年度では、初年度および今年度に確定したこれまでの基本再生産数に関する大域漸近安定性理論の研究成果を、より広く応用し、さらなる研究成果を挙げたいと考えている。例えば、Lyapunov 関数法による、patch structure をもつ、遅れ付き nonlinear SIS 感染症モデルや、patch structure を持つ、遅れ付きLotka-Volterra system の、また、単調法による、糖尿病 (IVGTT) モデルの大域漸近安定性やグループ SIRS 感性症モデルの大域漸近安定理論への応用を目指したい。また、multi-strain SIS モデルなど、reducible な係数行列の場合の、Lotka-Volterra system の大域安定性解析にも、チャレンジしたい。
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