研究実績の概要 |
最終年度では、感染症数理モデルの基本再生産数に関する大域漸近安定性理論を、グループモデルへの応用を中心に、Lyapunov 関数法だけでなく、単調法も応用することにより、以下の多くの研究成果をあげることが出来た。Lyapunov 関数法をグループモデルへ応用し ([1,2,5,6])、Patch structure を持つ Lotka-Volterra 方程式系に対する、グループ SIS モデルと同値になる条件を導出し、新しいタイプの大域漸近安定条件を得た([1])。Cure rate や relapse 項などのパラメーターを持つ、1次元版SIRS モデルの解析結果を、遅れと非線形接触項を持つグループ SIRS 感染症モデルの大域漸近安定性理論に拡張し([2])、Patch structure を持つ グループ SIS モデルの大域漸近安定性を完全解析し([5])、グループ感染症の endemic 平衡点の存在性とpermanence の証明を、グループ感染症モデルの基本再生産数に直接関係するように、主要項の線形化方程式の係数行列の絶対値最大の固有値に対応する正の固有ベクトルが関係する証明法を実践した([2,5])。Cure rate を持つ HIV pathogenesis モデルに対する大域漸近安定性条件を、単調法により大幅に改良し([3])、単調法による、グループ SIRS 感染症モデルへの応用に成功した([7])。さらに、中田行彦博士の主導で、東京理科大学の数学の紀要50号記念号に、最近までの SIRS モデルに関する諸研究の survey article を投稿し受理された([4])。
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