研究概要 |
中津は外部ポテンシャルを入れたランダム平面分割の熱力学極限に関する解析を進めた。具体的には, 5次元U(N)理論の拡大Nekrasov関数を導く場合について, 統計モデルのヘルムホルツ自由エネルギ-を2次形式を用いて表示し, 自由エネルギーの変分問題を導いた. 等価となるリーマン-ヒルベルト問題を考察した。これは, U(1)理論と同様に, 2次元シリンダー上で解析関数を求める問題になる。解析関数のシリンダーの二つの無限遠における境界条件と実軸上のカットの情報から解析関数を考察し, 熱力学極限の解に現れる無分散可積分構造に関する理解を進めた。ランダム平面分割の分配関数は4次元ゲージ理論のインスタントンのモジュライ空間上のディラック作用素の同変指数に相当する。中津と浜中は, 非可換空間上のゲージ理論の反自己双対接続の再検討を行った。特に, ADHM構成の完全性, ディラック指数を局所化する群作用に関して一定の結果を得ている。外部ポテンシャルを入れたランダム平面分割の分配関数は戸田階層のτ関数であることをすでに示していたが, さらに,これを含む形でエキゾチックな可積分構造があらわれる可能性を調べた。高崎は, ランダム平面分割のエキゾチックな可積分構造としてAblowitz-Ladik階層(相対論的戸田階層)が現れ得ることを示した。さらに, ランダム平面分割におけるシフト対称性と行列値の量子多重対数関数(matrix-valued quantum dilogarithmic function)の対応を示した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
外部ポテンシャルを入れたランダム平面分割の熱力学極限に関する解析を進めた。5次U(N理論の拡大Nekrasov関数を導く場合について, 自由エネルギーの変分問題と等価なリーマン-ヒルベルト問題の考察を進めた。非可換空間上のゲージ理論の反自己双対接続の再検討を行い, 特に, ADHM構成の完全性, ディラック指数を局所化する群作用に関して一定の結果を得た。外部ポテンシャルを入れたランダム平面分割の可積分構造として, 戸田階層を含む形のエキゾチックな可積分構造があらわれる可能性を調べ, Ablowitz-Ladik階層(相対論的戸田階層)が現れ得ることを示した。
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