研究課題/領域番号 |
24540231
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研究機関 | 兵庫県立大学 |
研究代表者 |
伊藤 洋一 兵庫県立大学, 自然・環境科学研究所, 教授 (70332757)
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研究分担者 |
大朝 由美子 埼玉大学, 教育学部, 准教授 (10397820)
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キーワード | 光学赤外線天文学 |
研究概要 |
平成25年度には「すばる望遠鏡を用いた原始惑星系円盤の観測」と「なゆた望遠鏡などによる前主系列星の年齢決定」の2テーマに取り組むことを計画した。 このうち「すばる望遠鏡を用いた原始惑星系円盤の観測」については、十分に課題に取り組むことができた。平成23年度にデータを取得したGG Tauについてデータ解析を行った。古典的Tタウリ型星の連星系であるGG Tauの周囲には、ドーナッツ状の周連星系円盤があることが知られている。我々は、すばる望遠鏡を使って近赤外線の偏光観測を行った。その結果、円盤は中心星の反射光で光っていること、円盤の北西側にギャップ構造があることを確認した。さらに、この円盤の物質は時計回りに回転していることが知られているが、先行研究の画像と比較することにより、ギャップ構造は反時計回りに回転していることを明らかにした。このためギャップ構造は円盤に付随する構造によるものではなく、より内側に存在する未知の構造が作った影であると考えられる。この結果についてはItoh et al.として論文を執筆した。現在、査読中である。 「なゆた望遠鏡などによる前主系列星の年齢決定」については、課題に取り組み始めた段階である。国内最大口径の光学赤外線望遠鏡である「なゆた望遠鏡」には、可視光の中低分散分光器がある。これに高分散分光モードを付け加えるための検討を行った。この高分散分光モードが完成すれば、なゆた望遠鏡を使って前主系列星の年齢を精度良く決定することが可能になるだろう。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
上記のとおり、2つのテーマのうち「原始惑星系円盤の観測」については当初想定していた計画とほぼ同じ程度の成果を得ることができた。未解析のデータもまだ存在するので、これからも観測とともにデータの解析についても積極的に行っていきたい。「前主系列星の年齢決定」については、高分散分光モードの検討に着手することができ、想定していた程度の達成度となった。今後は詳細な光学計算などを行い、高分散分光モードの製作を行いたい。
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今後の研究の推進方策 |
「原始惑星系円盤の観測」は今後も観測を継続する。また取得したデータも順次解析を行い、成果としてまとめたい。「前主系列星の年齢決定」については、なゆた望遠鏡の可視光分光器に高分散分光モードを導入することを目指す。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成24年度に、大学内の複数の競争的資金を得ることができた。そこで、研究の遂行に必要な物品の一部については、これらの競争的資金で購入した。このために科学研究費は計画していた金額を使用しなかった。 なゆた望遠鏡の可視分光器に高分散分光モードを導入する。このために必要な光学素子とその保持部品を購入する。また広い波長域に渡って量子効率の良いCCDを別財源で購入したので、その読み出し回路の製作などに科学研究費を使用する。
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