研究課題/領域番号 |
24540234
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 大阪府立大学 |
研究代表者 |
小川 英夫 大阪府立大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (20022717)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 宇宙物理 / 精密部品加工 / 電波天文学 / ミリ波 / 円偏波 |
研究概要 |
230GHz帯域用の直交偏波分離器(OMT),円偏波分離器(Circular Polarizer)、及び345GHz帯域用直交偏波分離器について測定を実施し、230GHz直交偏波分離器,円偏波分離器については十分に信用できると考えられる結果を得られた。 直交偏波分離器の測定の結果はおおむねシミュレーションで得た特性値と一致しており、このコンポーネントの製作が上手く出来ていると結論付けた。これに対して円偏波分離器の測定結果はシミュレーションで得た特性値多少ずれていた。 当初、この差異は製作誤差によるものと考えたため、円偏波分離器の3次元寸法測定結果をもとにして誤差解析を実行したが、測定値に近い値は得られなかった。すなわち、この差異は製作誤差では無く何か別の要因で生じていると考えられた。 この要因の最有力候補としては、この円偏波分離器は導波管パーツと蓋の2体構造であるため、それらの間に生じた「隙間」が考えられた。セプタムという部分の最上部と蓋の間に約4μmの隙間を作った結果の特性の傾向が測定結果とおおむね一致した。 これらの結果から、セプタム上部の隙間が円偏波分離器設計・製作におけるキーポイントであると分かったため、この問題を克服する製作方法を検討した。この結果、最上面を含めると5段あるセプタムの4段目の面にて上下に2分割する方式においては、隙間が生じるのがセプタム4段目の面となるが、その場合をシミュレーションした結果、特性の劣化を極めて小さく抑えられる事が分かった。現在はこの方式を採用した円偏波分離器を試作製作中であり、この結果が良ければ230GHz帯域での電波天文観測に用いる事を計画している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
概要にも示したように、当初の計画では24年度は測定系の整備を目指していたが、 それだけでなく「加工誤差に強い」設計を行うという本研究の目的の一つに取り組むことが出来た。 また、解析経験を多く積むことが出来たため、345GHzのみならずその他の帯域用円偏波分離器も従来より容易に設計出来るようになってきた。 加えてVLBI用受信機開発についても、「上記の加工誤差に強い」設計の円偏波分離器を用いる方向で既に取り組んでおり、平成25年度中に試験を予定している。 これらの事柄を鑑みるに、当初の計画よりも研究は進展しており、さらなる発展も期待できると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
350GHz帯域用円偏波分離器の開発を行う。 さらにVLBI用円偏波分離受信機の開発を前倒しして進める事とする。 さらに、これを足掛かりとして現在世界中で活発に検討されているサブミリ波帯VLBIプロジェクトへの参加を検討する。
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次年度の研究費の使用計画 |
200~300GHz帯円偏波ポーラライザの開発に使用する。
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