研究課題
高エネルギーガンマ線連星系とBe/X線連星系の活動性の起源を解明するために平成26年度には以下の研究を行った。【SPHコードの改良】超高エネルギーガンマ線連星系の中で最も謎に満ちた天体(HESS J0632+057)における相互作用の性質を解明するため、パルサー周囲のガス圧がパルサー風の動圧よりも大きいときにはパルサー風が抑止される効果をコードに組み込んだ。また、密度の大きく変化するところの計算精度を上げるため、変分原理に基づく定式化を用いてコードを改良した(いわゆるgrad-h項の導入)。【超高エネルギーガンマ線連星系に対するSPHシミュレーション】パルサー風抑止効果を取り入れたコードを用いて、HESS J0632+057に対する世界で初めての3次元シミュレーションを行った。【超高エネルギーガンマ線連星系に対する放射輸送計算と観測との比較】パルサー風抑止効果を考慮したHESS J0632+057のSPHシミュレーションに基づき、衝撃波領域からの非熱的高エネルギー放射を計算し、その結果が観測と良く一致することを示した。これにより、この系のコンパクト天体の正体が中性子星であること、および独特なX線・ガンマ線光度曲線の起源がパルサー風とBe星星周円盤の相互作用により引き起こされていることが明らかになった。【 Be/X線連星系のワープした円盤のシミュレーション】Kozai-Lidov mechanismに関する新たな研究に触発され、当初の計画を変更して、軌道面から大きく傾いたBe星ガス円盤の進化を3次元SPHシミュレーションで調べ、このようなガス円盤ではKozai-Lidov mechanismにより円盤の離心率が長周期で振動すること、そしてその振幅は時間と共に減衰することを確認した。
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すべて 雑誌論文 (6件) (うち査読あり 6件、 謝辞記載あり 4件) 学会発表 (6件) (うち招待講演 1件)
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