研究課題
平成28年度には、前年度にダラム大学でクリス・ドーン教授との共同で開発した、高降着率状態のブラックホールの降着円盤モデルを用いて、GX339-4というブラックホール天体のvery high stateのデータを解析した結果が、Monthly Notice 紙に掲載された。この論文はすでに引用件数が6となっている。さらに、このモデルを用いて、別のブラックホール天体MAXI J1659-152に応用した。この天体は、 GX339-4と同様にvery high stateであるが、高エネルギー側に熱的折れ曲りが見える点で異なっている。我々の開発したモデルで評価したところ、この折れ曲りは、完全に非熱的な電子が強い放射によって冷却され熱化したものとしてよく理解できることを示した。また、このモデルを近傍の渦巻銀河に存在する超光度天体(ULX)にも応用し、そのスペクトルを評価した。ULXがVERY HIGH STATEにあると仮定すると、非熱的電子の光学的厚みが、銀河系内ブラックホールと比較して、非常に大きくなることを導いた。これらの結果を、フランスで行われた研究会、"ULXs and their environments"で口頭発表した。ULXは恒星質量ブラックホールの超臨界降着率状態か、やや質量の重いブラックホールの高降着率状態か、もしくは非常に大質量のブラックホールの通常の降着率状態か議論が高まっており、確立した銀河系内のブラックホールの描像を応用したことは意義が大きい。
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