研究課題
基盤研究(C)
今年度は、次に記す突発天体/現象の速報関係と、MAXI 突発天体発見装置により新たに発見されたブラックホール候補天体 MAXI J1910-057 (Swift J1910.2-0546) の解析を中心に行った。同天体が A0620-00 に代表される古典的なブラックホールX線新星と同様な 2-3 日で急激に増光しその後 100 日以上かけて指数関数的に減少していくなかで、再増光を繰り返すことを確認した。その再増光とスペクトル変化の関係を詳細に調べ、状態遷移と再増光の関係を見いだした。同様な関係を過去のX線新星との比較やアーカイブデータの解析を行うことにより、一般的な関係であることを見い出した。それらについて物理学会等で発表した。MAXI のブラックホール天体以外にも、MAXI 突発天体発見システムにより、新たな中性子星の発見(MAXI J1647-227)や数々の突発天体や突発現象を発見し、The Astronomer's Telegram 等に報告した。今年度発見した4天体(X線新星)を含むこれらの MAXI の成果等について、MAXI チームを代表して、9月のギリシャでの国際会議「Half a Century of X-ray Astronomy」や1月に行われた「宇宙科学シンポジウム」で発表した。
4: 遅れている
通常の講義等の大学業務以外の業務の責任者となり、年間約 100 日約 600 時間拘束されたため、研究する時間が非常に限られたため。
MAXI J1910-057 で発見した状態遷移の研究を大学院生らと進め、論文発表を行う。また、これまでは MAXI のデータを用いて新天体の検出を4日以下のタイムスケールで試みてきたが、より長い 10 日や 1 ヶ月のタイムスケールで変動を示す天体があることが分かってきたので、より長期の変動が検出できるよう突発天体発見システムを改良する予定である。他にもこれまで MAXI の速報で用いてきた GSC 検出器より低エネルギーにより感度がある SSC のデータを用いた速報や突発天体の可視の追観測についても大学院生らと準備を進めており、ブラックホール天体の諸活動をより広い角度から研究を行う予定である。
これまでの MAXI のデータを高速に処理できるよう、SSD を主体とした高性能ワークステーションを購入予定である。
すべて 2013 2012
すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (5件)
Publications of the Astronomical Society of Japan
巻: Vol. 64, No. 2, Article 32 ページ: 1-15
巻: Vol. 65, No. 2, Article 79 ページ: 1-7
ASP Conference Series
巻: Vol. 461 ページ: 797-800
巻: Vol. 64, No. 6, Article 128 ページ: 1-14