研究課題
本研究課題は、サブミリ波超長基線電波干渉計を用いた高感度・高精度なイメージング手法を開発し、それを実データに応用してブラックホール近傍の構造や物理状況を描き出すことを目的としている。本年度も従来法であるCLEANによるイメージング技法に代わる方法として、LASSOなどを用いた画像再構成技法について検討をさらに進めた。その結果、通常の回折限界を超えた超解像イメージングが実現可能であることが、シミュレーション上で示された。また、電波干渉計の実データに本手法を適用し、期待通りの分解能向上が達成されることも実証された。特にブラックホール撮像の主要なターゲット天体であるM87で史上最高分解能のイメージを得ることができ、これまで見えていたジェットに加えてカウンタージェットも明瞭に検出することに成功した。今回我々が開発した手法は国際的にも注目されており、サブミリ波VLBI観測やブラックホールの直接撮像に関係した世界の研究者が一同に会する国際研究会“Event Horizon Telescope 2014” (開催地:Perimeter Institute, カナダ)に招待され、今回得られた成果に関する報告を招待講演として行った。また、上記の新手法検討に並行して、ハード面からの高感度化のためALMAをサブミリ波VLBI観測可能にするphase-upについても国際チームと共同で検討を進めた。具体的には光多重伝送による高速データ通信装置を開発・設置し、性能評価試験を進めた。その成果としてALMAのVLBIの試験観測に成功し、基本的な性能が達成されていることが明らかになった。さらに、ミリ波VLBIに関連した研究活動も進め、主要なターゲット天体であるM87のジェット構造に関する研究成果等を英文査読論文として出版した他、超解像を達成するイメージング技法についても論文として出版した。
すべて 2014
すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件、 謝辞記載あり 3件) 学会発表 (2件) (うち招待講演 2件)
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