研究課題/領域番号 |
24540243
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 独立行政法人宇宙航空研究開発機構 |
研究代表者 |
田村 隆幸 独立行政法人宇宙航空研究開発機構, 宇宙科学研究所, 助教 (00370099)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 銀河団 / X線分光 |
研究概要 |
銀河団の衝突と合体は,宇宙で最大の力学現象の一つである。このような構造形成のなかで,暗黒物質の重力エネルギーが,ガスと銀河の運動を経由して,ガスを加熱し宇宙線を加速する。本研究の目的は,X線ラインの赤方偏移を用いて,合体にともなうガスのバルクな運動を系統的に測定することである。それによって,衝突と合体の物理を理解し,その力学を支配している暗黒物質の分布を制限する。平成24年度は,「すざく」の性能を極限まで引き出すため,検出器の較正を行った。検出器に備え付けの較正線源やX線で明るい銀河団ペルセウスのデータを用いて,特に,エネルギー決定精度の時間および検出器上の場所依存性を調べた。また,ガスのバルクな運動の解析手法を開発した。これらを用いて,われわれの近くにありX線で明るい銀河団の20個程度のデータを系統的に解析し,バルク運動の空間分布を測定した。特に明るい銀河団について,ガスの運動の空間分布を調べた。さらに,それぞれの銀河団について,ガスの運動に関係していると思われる可視光で測定されたメンバー銀河の運動についても,空間分布を解析している。これらは可視光での深いサーベイ観測により,メンバー銀河の速度構造が独立に測定されており,いくつかのサブ構造が見つかっている。このようなサブ構造を集中的に観測し,銀河とガスの運動を比べた。これらのX線放射は,CCDの視野(17' x 17')の数倍に広がっており,マッピング観測が行われている。各視野ごとにデータを積分し,それらの「zの差」を測定した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成24年度は,検出器の較正,解析方法の確立,データの初期解析をおおむね計画どおりに実施できた。
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今後の研究の推進方策 |
当初の計画通り,平成25年度中には検出器の較正を完了し,データ解析についても完了する。
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次年度の研究費の使用計画 |
直接経費次年度の使用額を約35万円としている。これは,平成24年度の海外旅費が中国での国際会議に出席したことで,予定より節約できたことが一因である。次年度は,ヨーロッパでの国際学会での報告を予定している。
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