研究概要 |
1) LHCにおける第3世代のスカラークォーク探索実験の結果により,いわゆるNatural SUSY と呼ばれる超対称模型に対してどのような制限が課されるかを調べた。この模型のパラメータ空間に対する既存の制限として,ヒッグスボソンの質量,電弱精密測定,Bファクトリーによる希崩壊の情報を用い,これらと矛盾しないパラメータを用いて,LHCにおけるスカラートップおよびスカラーボトムクォーク対生成断面積を評価した。LHCのATLAS実験の探索結果を用いると,この模型では600GeVより軽いスカラートップは排除されることがわかった。 2) 超対称性を自発的に破るセクターが独立に複数存在したとすると,それぞれのセクターに南部ゴールドストンフェルミオンが存在することになる。このうち1つは超ヒッグス機構により,重力子のパートナーであるグラヴィティーノが質量を得る際に吸収されるが,それ以外は軽いスピン1/2粒子として存在する。この粒子(擬グラヴィティーノ)は標準理論の粒子と比較的大きな相互作用をする可能性がある。この場合,ニュートラリーノやチャージノがZ, H, W とこの粒子に崩壊できるため,LHCで生成されたニュートラリーノやチャージノを用いて,この可能性を調べることができる。現行のLHC実験では不足であるが,LHC高輝度将来計画において期待されるルミノシティがあれば,この崩壊を発見するだけの事象数が得られることがわかった。
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