研究実績の概要 |
1) 超対称性は現実世界では破れている必要があるが,その破れの機構は未解明である。超対称性を自発的に破るセクターが複数存在するとすると,それぞれのセクターにおいて質量0の南部・ゴールドストン・フェルミオンが出現する。このうち1つはスーパーヒッグス機構によりグラヴィティーノに吸収されるが,それ以外は擬ゴールドスティーノとして現れる。この粒子は標準理論の素粒子と比較的強い相互作用をすることが許される。このような場合,標準理論の粒子の超対称パートナーであるニュートラリノやチャージノはZ, Wボソンあるいはヒッグスボソンを放出して擬ゴールドスティーノに崩壊できる。この過程がLHC加速器における実験で検出可能かどうかを調べるため,ニュートラリノやチャージノの直接生成を想定し,モンテカルロ法を用いたシミュレーションを行った。その結果,将来計画されている高輝度のLHC実験においては,信号背景比が6%から25%となり,統計的に十分な信頼度で検出可能となることが見いだされた。 2) LHC実験をはじめとする加速器における実験,地下における非加速器実験,宇宙線観測,人工衛星を用いた観測などによる,ヒッグス粒子の性質の測定,第2,第3のヒッグス粒子の探索,暗黒物質粒子の探索,ブラックホール生成の探索,他の新粒子探索などの最新の結果を評価してデータベース化を行い,そのデータを過去のものと比較して最善の数値を導き公開した。
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