研究課題/領域番号 |
24540247
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 茨城大学 |
研究代表者 |
藤原 高徳 茨城大学, 理学部, 教授 (50183596)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | field theory / topological insulator / anomaly / index theorem / gauge field / effective theroy |
研究概要 |
バルクなトポロジカル絶縁体のフェルミ面近傍の励起準位を記述するBogoliubov-de Gennes(BdG)方程式によって記述される. 秩序変数が空間的に緩やかに変化する場合にはBdG方程式はHiggs場を背景場とするDirac方程式となる.Higgs場がボーテックスやモノポールのような位相欠陥を持つとき,ゼロ・エネルギーの束縛状態が出現することがしられている.これらは位相的に安定で,BdGハミルトニアンに対する指数定理によって,Higgs場の担う位相不変量に対応させることができる.空間次元がnのとき,系はSO(n)対称性を持つ.われわれは,背景場としてSO(n)対称性をゲージ化することで,Yang-Mills-Higgs 理論とフェルミ粒子が結合した系を考えた.BdGハミルトニアンは粒子-ホール対称性に起因する拡張された対称性を持つ.このことに着目して,指数定理の拡張を行い,Higgs場とゲージ場をもちいてBdGハミルトニアンの指数を与える一般公式を与えた.われわれはまた,1次の分散項に加えて2次以上の高次の分散項を持つトポロジカル絶縁体に着目し,一般化された指数定理に基づいてバルク-エッジ対応を調べた.平面的な境界を持つ系は境界条件を考慮して無限に拡がったバルクな系へと拡張することができる.われわれは,バルクなトポロジカル絶縁体を特徴づけるChern数がエッジ状態に対応するspectral flowに一致することを示した.これらの研究成果は2編の学術論文として発表した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
トポロジカル絶縁体の分類の場の理論的理解と拡張された指数定理の定式化についての研究の推進を計画したが,一部現在進行中の研究課題もあるが概ね,当初の予定通り研究を進め,成果を上げることができた.
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今後の研究の推進方策 |
トポロジカル絶縁体の場の理論的理解は本研究を進める上で鍵となる事項であり,引き続き研究を行う.バルク-エッジ対応を実現する具体的な系について研究を行ったが,普遍的な性質なり特徴なりを抽出できていない.バルク-エッジ対応を実現する系のカタログを整備し,バルク-エッジ対応の基本的なレベルでの理解を目指したい. 位相不変量 Z_2 で特徴付けられるトポロジカル絶縁体に対応する模型はグローバル・アノマリーやスピントロニクスを理解する上でカギとなる位相不変量で,その場の理論的記述を追求する.また,位相欠陥や境界に現れるゼロモードの有効ダイナミックスについて調べる.
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次年度の研究費の使用計画 |
専門家を招いてセミナーを3回程度開催し,研究交流を行う予定であったが,研究の進行状況の関係で一部を25年度に移さざるを得なかった.積み残しの研究経費は次年度の経費と合わせて,主として研究旅費と謝金に充てる予定である.
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