研究課題/領域番号 |
24540247
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研究機関 | 茨城大学 |
研究代表者 |
藤原 高徳 茨城大学, 理学部, 教授 (50183596)
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キーワード | field theory / topological insulator / anomaly / index theorem / gauge field / effective theroy / magnetized torus / theta function |
研究概要 |
monopole や vortex, instanton は系のトポロジカルな構造に関係した object で場の理論の非摂動論的挙動を理解する上で重要な手がかりを与えてくれる。そのようなトポロジカルな場の配位に対して Dirac 演算子はカイラルなゼロ・モードを持つが、それを高次元時空に基づく素粒子の統一理論に適用することで、クォーク・レプトンの世代構造や 質量スペクトルを理解しようという試みがなされている。トポロジカルな object に関係して Dirac 演算子にカイラルなゼロ・モードが現れる現象はトポロジカル絶縁体の物理においても期待され、こうした系を厳密解を用いて調べ、解析的に理解することは意義深いと考えられる。 トポロジカルな配位が実現できるもっとも単純な系は一様に磁化された平坦なトーラスである。われわれは、任意の次元において一様に磁化されたトーラス上の Dirac 演算子の固有値問題を設定し、そのスペクトルと固有関数を厳密に調べた。系の並進対称性はゲージポテンシャルの存在によって失われるが、一様磁場の系では磁気並進対称性と呼ばれる離散的な並進対称性が存在する。Dirac 演算子の固有状態の縮退はこの磁気並進対称性によって完全に理解でき、固有値問題は調和振動子の方法をもちいて厳密に解くことができる。興味ある結果は、Dirac 演算子のゼロ・モードに対応する基底状態の波動関数がテータ関数で記述され、磁気並進やトーラスを定義する基底の変更に対する波動関数の変換性がテータ関数の性質によって完全に理解できることである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
トポロジカル絶縁体の分類の場の理論の研究の推進を計画したが,一様に磁化されたトーラス上の Dirac 演算子の固有値問題の解析に手間取り、当初の予定の研究を十分に進めることができなかった。しかし、トポロジカルな object がある系における Dirac 演算子の固有値問題を厳密に調べることで、系の解析的な理解を得るという目標は達成できた。
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今後の研究の推進方策 |
一様に磁化されたトーラス上の Dirac 演算子の固有値問題について、論文執筆の作業をするめる。これまでの研究で、Bogoliubov-de Gennes(BdG)方程式にもとづいてバルクなトポロジカル絶縁体について調べたが、それを格子理論に拡張する研究を進めたい。格子ゲージ理論ではNielsen-二宮の不能定理によってカイラルな理論は強い制限を受けるが、overlap 形式を採用することで格子上にトポロジカル絶縁体を実現できると考えられる。さらに、トポロジカル絶縁体の場の理論的理解は本研究の中心課題であり、これらの研究と並行して行いたい.
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次年度の研究費の使用計画 |
研究計画の進展具合との関係で、研究交流のための出張旅費に未消化が生じたため。 現在執筆中の論分を完成させ、研究会・セミナー等で発表する予定である。その際の旅費として使用する予定である。
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