原子核のシッフモーメントは中性反磁性原子の電気双極子モーメントを与える。本研究ではシッフモーメントを数値計算し、そこから中性原子の電気双極子モーメントを見積もった。シッフモーメントの計算に際して、粒子の励起を1粒子1空孔励起で近似するタムダンコフ近似の計算手法を確立した。計算で得られたシッフモーメントを用い、中性原子の電気双極子モーメントを標準模型の枠組みで見積もったところ、キセノン129において3.0×10(-36) ecmという非常に小さな値が得られた。よってもしこの値より大きな電気双極子モーメントが実験的に観測されると、それはすなわち標準模型を超える物理の明確な証拠となる。
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