研究課題/領域番号 |
24540256
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
向山 信治 東京大学, 学内共同利用施設等, 准教授 (40396809)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 宇宙論 / 初期宇宙 / 量子重力 |
研究概要 |
宇宙では、様々なスケールの物理現象が互いに影響を及ぼしながら絶えず起こっている。その中でも、最も壮大なスケールの物理を対象とするのが宇宙論であり、最も基本的な最小スケールの物理が素粒子物理そして量子重力であると言えよう。重要なことは、この両極端の物理は繋がっている、繋がらなければならない、ということである(Cosmic Uroboros)。生まれたばかりの宇宙は超高エネルギーの極限的状態にあるため、ミクロの物理が本質的になるからである。本研究の目的は、量子重力理論に基づいて、宇宙のより深い理解を得ることである。初期宇宙の研究は、量子重力理論を含む、超高エネルギー物理に有益な知見をもたらすと期待される。 具体的には、(i)ローレンツ対称性を破る量子重力理論に基づく宇宙論、(ii)非線形massive gravity理論に基づく宇宙論、(iii)観測からの理論への制限、についての研究をおこなった。(i)においては、Horava-Lifshitz理論のU(1)拡張に対して、太陽系内観測から制限を与えた。また、新しい量子重力理論の構築に向けて、リーマン計量の理論が、長距離でローレンツ計量の理論に自発的に変化する機構を提唱した。(ii)においては、一様等方解に、非線形レベルでの新しい不安定を発見した。そして、その帰結として、新たな加速膨張宇宙解を構成した。この解では、背景時空は一様等方であるが、摂動レベルでは統計的非等方性が期待される。また、背景重力波による重力子の質量の観測可能性についても議論した。(iii)においては、ガンマ線バーストからのガンマ線の偏光観測により、CPTの破れに対する強い制限を得た。他には、インフレーション中に磁場を生成するシナリオに対し、インフレーションスケールにモデルに依存しない上限を与えた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
申請書には、24年度の課題として、①弦理論的インフレーション宇宙モデルの構築、②Horava-Lifshitz理論に基づく宇宙論、③非線形massive重力理論に基づく宇宙論、の3つを記載した。②と③については十分な結果を出せた。研究代表者は最近、リーマン計量の理論が、IRでローレンツ計量の理論に自発的に変化する機構を提唱した。この機構は新しい量子重力理論の構築に結びつく可能性がある(「12.今後の研究の推進方策」参照)ため、①を延期して、こちらに専念するように予定を変更した。
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今後の研究の推進方策 |
量子重力の構築は、理論物理学における重要な目標であるが、その一つの試みとして高階微分重力理論がある。実際、4階までの微分を含む理論は繰り込み可能なことが知られていて、さらにasymptotic safeであることも示唆されている。しかし、このような理論は、時間のないリーマン(locally Euclidean)計量に対して作られており、時間のあるローレンツ計量に解析接続するとghost不安定性(つまりnon-unitarity)の問題が生じる。研究代表者は最近、リーマン計量の理論が、IRでローレンツ計量の理論に自発的に変化する機構を提唱した。これを高階微分重力理論に適用することで、安定で繰り込み可能な重力理論を構築したい。また、この理論のIRにおける重力の量子論と宇宙論への応用、機構の素粒子標準模型への適用も試みたい。 Planck 2013 resultsでは、WMAPで既に示唆されていた、CMBの統計的非等方性が再度報告された。これが正しければ、背景時空の一様等方性を破る必要があるのかもしれない。一方、宇宙の加速膨張を説明しようとする試みとして、重力を長距離で変更するという考えがあり、massive gravityはそのような理論の中で最も良く研究されているものの一つである。Massive gravityにおいて、Planckの観測結果に合う、安定な一様非等方加速膨張解を探したい。
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次年度の研究費の使用計画 |
研究成果の発表と研究打ち合わせのため、旅費(国内・国外)を計上します。研究に必要な計算と論文執筆のため、パソコンおよび関連消耗品の購入に必要な物品費を計上します。会議参加費なども計上します。
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