研究課題/領域番号 |
24540259
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
杉本 茂樹 東京大学, カブリ数物連携宇宙研究機構, 特任教授 (80362408)
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キーワード | 弦理論 / ゲージ理論 / 双対性 |
研究概要 |
平成25年度は主として2つの研究を実施した。一つ目は、超対称性のないゲージ理論における双対性に関する研究である。これは平成24年度に行った研究を拡張し、さらに発展させる研究である。双対性の候補はいくつか見つかったが、残念ながらまだ確たる証拠を得ることができず、発表には至っていない。 もう一つは、3次元のヤン・ミルズ・チャーン・サイモンズ理論のホログラフィック双対に関する研究である。特に境界を含み、境界上にカイラルフェルミオンが住んでいるのようなゲージ理論を考察した。まず、この理論を弦理論の枠内に埋め込む方法を考案し、ホログラフィック双対な記述を得た。電場や磁場が入った場合のDブレインの配位に対する解析解を求めることに成功し、ある特定の解の周りの摂動論的な解析も行った。 その他にも、弦理論の境界状態を用いてあるゲージ理論のβ関数を1ループの近似で求める計算を行い、超対称性が破れた背景に対応する超重力理論の運動方程式の解をいくつか求めるなどの研究も行った。これらの計算はまだ試行段階であり、上記の3次元ヤン・ミルズ・チャーン・サイモンズ理論の研究がまとまり次第、本腰を入れて考察したいと考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
超対称性がないゲージ理論で双対性を見出し、非自明な証拠を得ることが予想外に難しく、共同研究者と長い間議論したが残念ながらまだ日の目を見ていない。また、もう一つの研究である3次元ヤン・ミルズ・チャーン・サイモンズ理論に関する研究も、4次元QCDを議論したときの経験を活かせば容易であると思っていたが、チャーン・サイモンズ項があるために理論の様相が随分異なり、解析に手こずっている。
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今後の研究の推進方策 |
まずは平成25年度から継続して行っている3次元ヤン・ミルズ・チャーン・サイモンズ理論に関する研究を完成させることに集中する。現在進めている、束縛状態のスペクトルを求める計算をまず終わらせ、境界上のオペレータの2点関数の計算も行いたい。また、2次元QCD、WZW模型、量子ホール効果との関連も調べる予定である。この課題が片付き次第、研究実績の概要の項目で触れた進行中の他の課題についての研究を順次行う予定である。
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