研究課題/領域番号 |
24540261
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
鈴木 宜之 新潟大学, 自然科学系, その他 (70018670)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | Triple-alpha reaction / Complex scaling method / Correlated Gaussian |
研究概要 |
α粒子間のポテンシャルが与えられたとき、粒子相関を顕に含んだガウス基底で3α粒子系のエネルギーを計算するプログラムを作成した。特に角運動量に依存するポテンシャルが作用する場合に、安定して数値計算する方法を工夫した。更に極低エネルギーの連続状態を離散化する必要性から、基本的にはガウス基底を用いながら指数関数的振舞いをする擬似指数関数基底を作ることが可能になった。 3個のα粒子の放射性捕獲によって炭素12の原子核が生成される反応は、電荷を持った粒子の3体連続状態の問題なので極めて難しい部類の問題に属する。この困難さを回避するために連続状態を直接扱わないで、放射性捕獲反応を炭素12の光分解の逆反応に関連づけ複素スケーリング法を適用して求める反応率を計算することにした。この定式化は完成させた。 光分解反応などのように束縛状態である始状態から2体、3体系のエネルギー連続状態である終状態への強度関数(応答関数)を理論的に計算することをヘリウム原子核の場合に徹底的に実行し、複素スケーリング法の問題点とそれを解決するための工夫を学んだ。特に反応の閾値近傍では安定して数値計算することが容易ではなく別の考察が必要になるので、解析的な方法で明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究課題の遂行にとって不可欠の複素スケーリング法を十分に使いこなすために、それ自体物理的に興味のある4He原子核の電気双極子ならびにスピン-双極子応答の課題を徹底的に調べたため、予想以上に時間がかかったことが一つの理由。 もう一つの理由は、3個のα粒子の放射性捕獲反応を炭素12が光を吸収しα粒子3個に分解する反応に関係づける理論をあいまいさなく定式化するために、幾つかの文献を調べながら学ぶ必要があったことである。
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今後の研究の推進方策 |
まず、8Be,12Cの基本的性質をα粒子系のハミルトニアンで出来るだけ再現するようなハミルトニアンを決定する。 次に3α粒子系の2+の束縛状態から0+への電気四重極遷移の強度関数を計算する。本来は0+の連続状態に関心があるが、まず相関ガウス基底を用いて離散化する。その基底が十分用意されたかどうかを判断するために和則を用いて検討する。 更に複素スケーリング法により3α粒子のエネルギーの関数として、放射性捕獲反応率の計算の準備をする。
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次年度の研究費の使用計画 |
国内外の連携研究者との共同研究ならびに計算結果の分析のために用いる旅費がかなりの部分を占める。
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