研究課題
ローレンツ型IIB行列模型に対して、フェルミオンの寄与を簡単化することにより、2つのトーイ模型を提案した。1つは早い時刻での膨張の様子を有効的に記述すると期待され、もう1つ後の時刻でのそれを有効的に記述すると期待される。両模型において、元の模型と同様に臨界時刻より後にSO (9)対称性がSO (3)対称性に自発的に破れることを見出した。これは3+1次元の膨張する宇宙のダイナミカルな出現と解釈されうる。前者においては、膨張則が指数関数的であることを見たが、これはインフレーション宇宙における膨張則と見れる。後者においては膨張則が時刻の1/2乗に比例することを見たが、これは輻射優勢宇宙での膨張則に等しい。また、行列模型と幾何の関係への知見を得るために以下のような研究を行った。最近、ゲージ重力対応に基づいて、量子エンタングルメントと幾何(重力)の関係が盛んに研究されている。また、非可換空間上の場の理論は行列模型で実現されるが、非可換空間と量子重力や弦理論との関係も長く議論されてきた。このような背景のもと、非可換空間における量子エンタングルメントは興味深い。ここではまず、ファジー球面上のスカラー場の理論を行列模型で実現し、コヒーレント状態を用いてファジー球面の領域と行列の要素の領域の間に対応をつけた。そして、レプリカ法に基づく方法を用いてエンタングルメントエントロピーを計算した。先行研究ではゼロ温度で相互作用がない場合にしか適用できない方法を用いていたが、ここでの方法にはそのような制限はない。先行研究の結果を再現し、その解釈を与えた上で、有限温度効果が領域の体積に比例すること、相互作用がある場合には相互作用が非局所的であるためにエンタングルメントエントロピーが非自明な振る舞いをすることを見出した。
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すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 2件、 謝辞記載あり 2件) 学会発表 (8件) (うち国際学会 3件、 招待講演 4件) 備考 (2件)
Progress of Theoretical and Experimental Physics
巻: 2016, 023B03 ページ: 1-12
10.1093/ptep/ptv192
Journal of High Energy Physics
巻: 1511, 070 ページ: 1-22
10.1007/JHEP11(2015)070
http://www.ipc.shizuoka.ac.jp/~satsuch/
https://tdb.shizuoka.ac.jp/RDB/public/Default2.aspx?id=10988&l=0