2次元共形場理論の共形ブロックと超対称ゲージ理論のインスタントン分配関数(ネクラソフ関数)の対応(AGT 関係式)の背後にある無限次元対称性や可積分構造に関する研究を継続した.特に今年度は M5 ブレインを3次元多様体上にコンパクト化して得られる超対称ゲージ理論と3次元 Chern-Simons 理論の対応(AGT 関係式の3次元版)を念頭において,ゲージ化された G/G Wess-Zumino-Witten 模型から計算される Verlinde 代数の量子変形について研究を行った.とくに2次元位相的ゲージ理論としての G/G Wess-Zumino-Witten 模型の分配関数や相関関数をある種の統計模型のベーテ方程式の解(ベーテ根)を用いて表す手法(ゲージ理論・ベーテ仮説対応)を用いて,変形された Verlinde 代数の構造定数を決定し、そのインスタントン効果による解釈を試みた. 年度の後半には5次元超対称ゲージ理論のネクラソフ分配関数の自然な無限次元対称性と考えられている Ding-Iohara-Miki 代数およびその4次元極限に対応するアフィンヤンギアン代数を研究した.とくに5ブレインウェッブあるいはトーリック Calabi-Yau 多様体上の(精密化)位相的弦理論に対応させることのできる模型として新たに提案されたネットワーク型行列模型と精密化位相頂点の関係を明らかにするとともに,それを利用して Ding-Iohara-Miki 代数に対する Ward 恒等式としてネットワーク型行列模型の相関関数に対する拘束条件を導いた.
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