宇宙の大規模構造の非線形現象と観測可能量を理論的に記述するため、これまでの伝統的な摂動論的枠組みを拡張した「統合摂動論」を完成させた。宇宙の大規模構造には、力学的な非線形効果と共に非線形な赤方偏移変形と銀河バイアスの効果が複合的に組み合った複雑な過程が含まれている。この問題を摂動論に基づく系統的な理論的方法で明らかにしようとするのが統合摂動論である。これ以外の方法では取り扱いのできなかった大規模構造にまつわる様々な問題について、具体的な解法を提示することに成功した。その理論的成果を大規模な数値シミュレーションと比較することにより、その妥当性と適用範囲を明らかにした。
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