研究課題/領域番号 |
24540283
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
丸 信人 慶應義塾大学, 経済学部, 助教 (40448163)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 国際情報交換 / ゲージ・ヒッグス統一模型 / ヒッグス粒子 / 2光子崩壊事象 / アメリカ |
研究概要 |
当初の研究計画では、ゲージ・ヒッグス統一模型におけるレプトンフレーバー混合について研究する予定だったが、昨年7月に欧州原子核共同研究機構におけるLHC実験によって、ヒッグス(らしき)粒子の発見とその2光子崩壊が標準模型からの予言より1.5-2.0倍過剰になるデータを受けて、ゲージ・ヒッグス統一模型の観点からの説明を試みる研究に重点をおいた。 この研究は、岡田宣親氏(米・アラバマ大)との共同研究である。LHC実験が開始される前に岡田氏と先行研究をした際に、ゲージ・ヒッグス統一模型におけるヒッグス粒子の2光子崩壊は標準模型の予言に比べて抑制されるという結論に至った。しかし、実験データはこれに反して強める傾向なので拡張が必要である。そこで、余分なレプトン粒子を導入し2光子崩壊への寄与を計算すると強めることがわかり、その電荷を適当に調節すればデータを実現できることを示した。また、このレプトンはゲージ・ヒッグス統一模型では軽い傾向にあるヒッグス粒子の質量を増加させる効果があり、観測値の125ギガ電子ボルトを再現できることも示した。更にこのレプトン粒子のなかで一番軽い粒子は宇宙論的に安定になり、暗黒物質の候補になり得ることもわかった。 従来の研究課題であるゲージ・ヒッグス統一模型におけるレプトンフレーバーの破れについては、安達裕樹氏(松江高専)と倉橋信明氏(神戸大)との共同研究を継続しており、ミュー粒子が3個の電子に崩壊する過程を計算し、模型のパラメタについて制限をつけるのが目的である。 研究成果としては、岡田氏との共同研究については論文を執筆し学術雑誌に投稿した。(arXiv: 1303.5810) その研究成果について2013年3月に大阪大学で行われた国際研究会における招待講演で発表した。安達氏、倉橋氏との共同研究については継続中であり論文等の発表には至っていない。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究実績の概要にも述べた通り、昨年7月のヒッグス(らしき)粒子の発見に伴い、そちらに関連した研究を行ったために従来の研究課題に割く時間が少なくなったことが最大の理由である。
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今後の研究の推進方策 |
ヒッグス(らしき)粒子の2光子崩壊に関する研究は一段落したので、従来の研究課題であるゲージ・ヒッグス統一模型におけるレプトンフレーバーの破れの研究に集中したいと考えている。継続中のμ→3e崩壊過程の解析を終わらせ、論文にして発表したい。
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次年度の研究費の使用計画 |
前年度と同様、国際学会、物理学会、国内外研究会、セミナー講演等での講演発表のために必要な旅費の支出がメインとなる。共同研究を遂行する上で専門知識の提供や情報交換等有益と思われる研究者のセミナー講演等への謝金等にも当てる。
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