研究課題
2013年度は,Planckにより得られた宇宙背景輻射の温度揺らぎの観測データを用いて,観測と整合的である単一場のインフレーション模型に対して制限をつけた.また,ブレーンワールドと非可換模型に基づくインフレーション模型に対しても制限を与えた.さらに,2脚場とスカラー場が結合しているようなインフレーション模型において,時空の非等方性が残りうることと,密度揺らぎのパワースペクトルと非ガウス性に対して定量的な評価を与えた.それに加えて,Planckのデータから,非等方インフレーションが起こる場合のスカラー場のポテンシャルに対して制限を与えた.また,スカラー場の運動エネルギー項に基づく,羃型の宇宙膨張の模型で,非等方インフレーションが一般的に起こることを明らかにした.また,最も一般的なスカラーテンソル理論において,球対称時空における基礎方程式を導出し,宇宙の局所領域においてどのようにヴァインシュタイン機構が働き,一般相対論的な特徴が回復されるかについて調べた.この研究は,修正重力理論に基づく有効な暗黒エネルギー模型の構築のために,重要な研究成果である.また,重力子が質量を持つようなmassive gravity理論における宇宙進化を調べ,暗黒エネルギーの状態方程式が-1より小さく,宇宙項模型と区別できることを示した.さらに,暗黒エネルギーと暗黒物質に関して,宇宙論的摂動を用いた実効的な場の理論を構築し,摂動方程式を導出した.また,暗黒エネルギーに関する研究成果が評価され,Classical and Quantum Gravity誌に,宇宙の後期加速膨張を引き起こすスカラー場に関するレビューを執筆した.
1: 当初の計画以上に進展している
Planckによる観測データが2013年に公表され,それに基づくインフレーション模型や暗黒エネルギー模型の制限を予定よりも早く行うことができた.
2013年度には,暗黒エネルギーを統一的に扱う理論的な手法を確立したため,今後は,新たな観測データからそれぞれの模型に詳細な制限をつけていき,最も有効な模型を絞り込んでいく.
本年度は,物品費としてコンピュータを購入する必要がなく,また旅費についても予定より下回る額であったため.主に,ドイツおよびスペインで開かれる会議の参加のために使用する予定.
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http://www.rs.kagu.tus.ac.jp/shinji/pubnew.html