研究課題/領域番号 |
24540291
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 熊本保健科学大学 |
研究代表者 |
竹永 和典 熊本保健科学大学, 保健科学部, 准教授 (50379294)
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研究分担者 |
宗 博人 愛媛大学, 理工学研究科, 教授 (20196992)
山下 敏史 愛知医科大学, 医学部, 講師 (90622671)
小島 健太郎 九州大学, 学内共同利用施設等, 助教 (20525456)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | ゲージヒッグス統一機構 / 余剰次元 / ヒッグス / 対称性の破れ |
研究概要 |
ゲージヒッグス統一機構を大統一理論の中で実現し、かつ、カイラルな物質場の構造を持つ模型を構築する研究を行った。大統一のゲージ群としてSU(8)とE_6ゲージ群から出発して、望ましいゲージ対称性の破れのパターンがゲージヒッグス統一機構で起こるかどうかを研究した。ゲージ群がSU(8)の場合に、基本となるアイデアを示すことができた。そして、より現実的なE_6ゲージ群の場合に、有効ポテンシャルを最小化することで、ある物質場の組み合わせの場合に、フリップ型の大統一理論を実現できる模型が存在することがわかった。これにより、大統一理論の枠組みの中でゲージヒッグス統一機構が機能する模型が存在することが示され、大統一理論構築への選択肢が広がったと言え、大きな成果である。 また、ゲージヒッグス統一機構が持つダイナミクスの研究に関して、我々は4次元のカットオフを導入して、有効ポテンシャルやヒッグス質量を計算した。その際、4次元と5次元の物理の兼ね合いを表す便利なパラメータを定義することに成功し、我々は、それを「interrelation」と名付けた。このパラメーターにより、例えば、4次元の物理量に5次元の物理の代表であるカルーザクラインモードがどれほど効いているかとうことが、CERNのLHC実験で見つかったヒッグス粒子の質量から、決めることができるようになった。この研究により、従来無視されてきた有効理論としてのゲージヒッグス統一機構を4次元の立場から研究する手法を切り開いたことになる。さらに、このinterrelationのおかげで、ゲージヒッグス統一機構で有限となる物理量の構造を、よりいっそう明確にすることができ、その原因の、摂動的のみならず、非摂動的な解明に向けた一歩を踏み出したと言える。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ゲージヒッグス統一機構を大統一理論の中で実現する模型を構築する研究は、査読付き学術論文への投稿へ向けて、細部を検討し、まとめる段階に入っている。また、ゲージヒッグス統一機構のダイナミクスの研究に関する研究は現在、査読付き学術雑誌に投稿中である。以上により、研究はおおむね順調に進展していると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
ゲージヒッグス統一機構を大統一理論の中で実現する模型の構築の研究では、望ましいゲージ対称性のパターンと低エネルギーで実現される物質場が3世代で、かつ、カイラル構造を持つということを実現する模型を構築することを目指したい。また、大統一理論に固有の問題である陽子崩壊や2ー3重項分岐問題が、我々の模型の枠組みの中でどのように解決されうるのかを研究する予定である。 また、ゲージヒッグス統一機構が持つダイナミクスの研究では、我々が見つけた兼ね合いのパラメーター、つまり、「interelation」という新しい概念、手法を格子化された時空上でのゲージヒッグス統一機構の研究に適用することで、4次元と5次元の物理の兼ね合いを非摂動的に明らかにしたい。さらに、より高次のループ計算を進めることで、この兼ね合いのパラメーターを通じて、有限な物理量の出現の由来、機構を明らかにしたい。
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次年度の研究費の使用計画 |
該当なし
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