研究実績の概要 |
本研究目的は、無限小変位ガウス・ローブ基底関数を用いた独創的な少数多体系計算法を活用し、チャームクオークを含むバリオンであるΛc,Σcを原子核に束縛させてできるチャームハイパー核の構造研究を行い、さらには、この構造研究を通して、チャームハイパー核内におけるチャームクオークの役割を解き明かすことである。これまでに、ΛcN-ΣcN-Σc*N結合を含むチャームー原子核相互作用を研究分担者である岡氏と共に構築に成功した。しかし、この相互作用の芯の部分に不定性が残るため、3体、4体チャーム原子核の構造計算を行い、その結合エネルギーのばらつきを計算する必要がある。このばらつきを先に理論的に指摘し、将来の実験データとの比較・検討から相互作用の引力部分を決定すること重要であることを指摘した。実際、以前から4ΛHe、4ΛHのNNNΛ+NNNΣ結合4体計算プログラムを改良し、NNNΛc+NNNΣcの結合4体計算を行った。NΛcの相互作用の引力が仮に、NΛ相互作用と同じであると仮定すると、Λcの質量分だけ、NNNΛcが3MeV程度NNNΛよりも深く束縛することを明らかにした。このことよりも、ストレンジネスクオークよりもチャームクオークを原子核に付加することにより、深く束縛させることでより物理を明快にすることができる可能性が開けてきたことを意味する。ただし、ΛcN相互作用には不定性が非常に大きいので、今後のJ-PARC実験施設での実験に期待したい。
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