研究概要 |
ビッグバン宇宙元素合成において、リチウム同位体(6Li と 7Li)の量は理論計算値と観測値の間に不一致があり、現在、大きな問題の一つとして挙げられている。この理論計算では、既存の核データに基づいた反応断面積を基礎として数値を算出しているが、この核データの精度が不十分であり、より詳しい実験が必要である。この観点から、我々は、6Li(p,γ)7Be反応のradiative capture 過程の断面積を再測定した。実験は、筑波大学研究基盤総合センター応用加速器部門において実施し、筑波大学、日本原子力研究開発機構、東京大学CNS、理化学研究所、中国IMP、韓国Hoseo大学の機関の共同研究として行った。ターミナル電圧百万ボルトのタンデトロン加速器を用いて陽子ビームを、エネルギー 0.25 MeV から 2.08 MeVの間で変化させて加速し、6Li 濃縮同位体ターゲットに照射した。核反応で発生した高エネルギーガンマ線を0度に設置した高検出効率高分解能のゲルマニウム半導体検出器(相対検出効率140%)で測定した。これまでの暫定的な解析結果から、我々の結果は、ほぼ過去データを再現する事が判った。しかし、より低いエネルギーにおいて、共鳴ピークに類似した変化が得られ、これまで報告の無かった新たな知見が得られた。
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