研究課題/領域番号 |
24540301
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 福井大学 |
研究代表者 |
仁木 秀明 福井大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (00135758)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | レーザー同位体分離 / カルシウム / 二重ベータ崩壊 |
研究概要 |
申請者はこれまでに、モンテカルロ数値計算シミュレーションを用いて解析することにより、レーザー法の分離性能を調べてきた。これにより、コリメートされたCa原子ビームに直角方向からレーザーを照射することにより、高濃度のCa-48同位体を高い回収率で生産できることが示唆された。これらを実験的に検証し、分離装置の概念設計につなげるために、以下の項目を実施した。 ①実験装置の整備: 現有する真空チャンバーを改造し、原子蒸気発生用ヒータ加熱のオーブン、イオン引き出し電極、高感度高速イオン検出器(MCP)を備えた装置を構築した。 ②Ca原子の偏向実験: 現有する、半導体レーザーを用いて、まず、天然存在比の最も大きいCa-40の共鳴波長近傍でにレーザー波長を繰り返し掃引し、Ca-40からの強い共鳴蛍光を観測することで原子ビームの広がりがモニターできることを確認した。また偏向角の大きさは、別のレーザーでイオン化されたCa-40のイオン検出器(MCP)までの飛行時間により、正確に測定できることが分かった。 ③同位体分離実験: ②で用いた半導体レーザーを用いて、Ca-48同位体分離実験の準備が整ったが、Ca-48同位体の質量スペクトルをきれいに観測するためには、質量分析系の感度の向上が必要であることが分かった。これについては今後、装置の配置等を工夫して解決する予定である。 ②、③については平成25年度も継続して行うことになっている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
おおむね達成でぃたと評価している。ただ、同位体分離実験を行うまでには至らなかった。主な理由は、分離用光源である半導体レーザーに不調をきたし、実験が進められなかったことであるが、不備な点は解消され、実験が始められる体制になっている。
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今後の研究の推進方策 |
シミュレーションで予測されたレーザー同位体分離の特性を確認するために、前年度に引き続き、レーザー照射によるCa原子の偏向実験、同位体分離実験を進める。 偏向実験については、Ca-40を対象に、レーザーの照射条件に従い偏向の挙動がどのように変わるかを明らかにし、シミュレーション結果と比較検討する。 同位体分離実験については、質量分析系の高感度化を行うとともにレーザー照射条件、回収位置(観測点の位置)によって同位体濃度がどのように変化するかをかくにんし、シミュレーション結果と比較検討する。 また、多量にCa原子を蒸発させた際に原子ビームの形状(広がり)や原子ビーム内での凝縮についても検討する。
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次年度の研究費の使用計画 |
レーザー照射実験に伴う、レンズ、ミラー等の光学部品、イオン分析用の金属材料、電子部品、カルシウム金属材料、洗浄用薬品等の消耗品が必要である。また、研究調査や学会発表等の旅費も必要である。本年度の研究を進める上で、現在のところ特に設備備品は必要ではないと考えている。
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