研究課題/領域番号 |
24540301
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研究機関 | 福井大学 |
研究代表者 |
仁木 秀明 福井大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (00135758)
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キーワード | レーザー同位体分離 / カルシウム / 二重ベータ崩壊 |
研究概要 |
申請者は,モンテカルロ数値計算シミュレーションを用いて、レーザー偏向法によるCaの同位体分離について、その性能を調べ、標的同位体であるCa-48を高濃度でかつ高い回収効率が可能であることを示した。本手法の有用性を実験的に検証し、さらに分離装置の概念設計につなげるため、研究を進めている。平成25年度は以下の項目を実施した。 ①吸収スペクトル測定による同位体の偏向挙動の評価:同位体分離においては十分にコリメートされたCa原子ビームに直角方向からレーザーを照射して特定の同位体を偏向するが、これにより吸収スペクトルもシフトすることから、これにより偏向の度合を評価できることを計算シミュレーションで示した。これができれば、簡便に原子の偏向をモニターできることになる。 ②半導体レーザーの整備と準備:①のことを実験的に実施するために、昨年度不調であった、原子ビーム偏向用半導体レーザーを整備するとともに、吸収スペクトル測定用にもう一台同じ波長で発振する半導体レーザーを準備した。 ③濃縮比測定のための同位体質量分析:本分離法の性能の直接的な指標である濃縮比を評価するために、偏向された原子ビーム中の同位体存在比をレーザーイオン化と飛行時間分析を組み合わせた質量分析法を準備しているが、天然存在比が0.18%である標的同位体であるCa-48が明瞭に測定にかかる状態が達成されている。 これらの成果に基づいて本年度は原子ビームの変更実験、同位体分離実験を実施していく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
一時、半導体レーザーが不調をきたしていたことにより、その分、若干実験が遅れているが大きな問題はないと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
数値計算シミュレーションで予測されたレーザー同位体分離の特性、およびその評価方法を確認するために、引き続き、レーザー照射によるCa原子ビームの偏向実験、および同位体分離実験を進めていく。 Ca原子ビームの偏向実験については、25年度に提案した光学的測定法である、吸収スペクトルのドップラーシフトの測定、偏向された原子ビームのイオン化測定による測定を進める。この実験においては存在比の大きいCa-40同位体を標的とする。 同位体分離実験については、Ca-48を標的として、偏向された原子ビームの質量分析により性能を評価する。
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次年度の研究費の使用計画 |
従来より、研究室で保管していた光学部品(ミラー、レンズ等)のうち、まだ使用に耐えるものがあり、これらを使用することで、消耗品の支出が抑えられたため。 本手法によるCa同位体分離の濃縮比を質量分析により評価する場合、蒸気発生用の真空容器のマイナーチェンジが有効と考えられるため、このための消耗品の購入に充てる予定である。
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