研究課題/領域番号 |
24540309
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
中川 友進 早稲田大学, 理工学術院, 助教 (50513454)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 超強磁場中性子星 / マグネター / パルサー |
研究概要 |
観測的・理論的な研究から、我々の宇宙には~10**14 G の超強磁場中性子星である「マグネター」が提案されている。本研究課題は「すざく」衛星やMAXIなどを用いたX線観測により、マグネターの放射機構の解明を目的としている。平成24年度はこれまでの研究成果を検討すると共に、さらに詳細な解析を進めた。研究成果を以下にまとめる。 HETE-2衛星がSGR 1806-20、SGR 1900+14から検出した明るいバーストのX線スペクトルの再解析を行った。その結果、SGR 0501+4516などの暗いバーストと同様に、SGR 1806-20は硬X線成分が存在すると考えても矛盾が無い事を見出した。さらに明るいバーストほど硬X線成分の光度よりも二温度黒体放射の光度が大きくなる可能性を見出した。 Swift 衛星の観測チームにより、AXP 4U 0142+614が2011年7月29日にバースト活動を示し、少なくとも10 個以上のバーストを起こした事が報告された。私はSwift衛星の観測チームと協力して定常放射の監視を行い、同天体が稀な活動期を示していると判断して、「すざく」衛星による緊急観測を2011年9月7日に実施した。観測中に明らかなバーストは見られなかった。静穏期と比べると定常放射が明るく、X線スペクトルが硬い可能性を見出した。タイミング解析により、回転周期は8.68900+/-0.00004 sであり、2000年のRXTE衛星の観測(Gavriil et al. 2000)から外挿した値と誤差の範囲で一致する事を見出した。この回転周期を用いて、0.4-4keV、4-10keV、12-40keVの光度曲線を畳み込むと、どのエネルギー帯域でもパルスが検出された。 これらの研究成果について、国内学会・国際学会で発表、及びプロシーディングとしてまとめた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成24年度に解析を計画していた「すざく」衛星が観測したマグネターのうち、国内学会・国際学会、及びプロシーディングで発表したのはAXP 4U 0142+614だけである。しかし、他のマグネターについても解析は順調に進行中であり、近いうちに完了させる。既に研究成果をプロシーディングにまとめているので、これを元にすぐに査読付き投稿論文にまとめる事ができる。 平成24年度はSGR 0501+4516、SGR 1806-20、AXP 1E 1841-045が活動期を示した可能性が報告されたが、SGR 0501+4516はすぐに静穏期に戻ったため、残り2天体は「すざく」衛星の運用上の制限のために、緊急観測は行わなかった。また新しいマグネターは発見されなかったため、緊急観測は行わなかった。 これらのことから、現在までの達成度は「おおむね順調に進展している」と判断した。
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今後の研究の推進方策 |
最初にHETE-2衛星が検出したSGR 1806-20、SGR 1900+14のバーストの解析結果を査読付き投稿論文にまとめる。次にAXP 4U 0142+614に加えて、他のマグネターの解析を完了させて、「すざく」衛星を用いた研究成果を査読付き投稿論文にまとめる。これらと同時に、平成25年度以降の計画に従って研究を推進する。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度使用額は、職務上の理由により、国内学会1件、国際学会1件への参加を断念したことにより生じたものである。そこで、研究代表者による研究成果発表のために、国内出張(1回)、海外出張(1回)に使用する予定である。
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