研究課題
磁場強度が~10**14 Gにも達する中性子星であるマグネターは、定常的にX線を放射し、ときおり強烈にX線を放出するバーストを起こす。私はこれまでに「すざく」衛星やHETE-2衛星を中心としたマグネターのX線観測に基づく研究を行い、バースト・定常放射によらない二温度黒体放射と硬X線成分の光度相関などを発見し、太陽フレアとの類推から「定常放射は微小バーストの重ね合わせ」とする独自の仮説を提唱している。この仮説の証明が本研究の目的である。私の仮説が正しければ、定常放射は大小さまざまなサイズの微小バーストで構成されており、定常放射の強度揺らぎはポアソン分布から推定される値よりも大きいと考えられる。そこで、「すざく」衛星が観測した11天体・21観測のマグネターの光度曲線(0.2-12 keV、10-70 keV)について、RMS Variationを用いて強度揺らぎを定量的に評価した。その結果、ポアソン分布から推定される値よりも、0.2-12 keVでは11天体(1.3-18.8%)、10-70 keVでは5天体(16-99%)が有意に大きい値となった。さらに5天体については0.2-12 keVより10-70keVにおけるRMS Variationの方が大きい値となるエネルギー依存性を発見した。そこでエネルギーを細かく分けて調べたところ、二温度黒体放射と硬X線成分のエネルギースペクトルが交差するエネルギー付近(概ね3-6 keV)において、RMS Variationが急激に大きくなる傾向を発見し、硬X線成分が二温度黒体放射より激しく変動する可能性を見出した。「すざく」衛星が観測した11天・21観測のマグネターについて、特に定常放射のエネルギースペクトルを調べ、光度相関の精密化を行った。また、暗いバーストのフルーエンスSと頻度Nの関係を調べ、それをS→0へ外挿した時に、微小バーストの放出エネルギーで定常放射を説明できるかの検証を行った。本研究により、私の仮説を支持する重要な成果が得られたと考えている。
すべて 2015 2014
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 2件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (2件)
Publications of the Astronomical Society of Japan
巻: 00 ページ: 00(1-12)
10.1093/pasj/psv011
Suzaku-MAXI 2014: Expanding the Frontiers of the X-ray Universe, proceedings of a conference held 19-22 February, 2014 at Ehime University, Japan. Edited by M. Ishida, R. Petre, and K. Mitsuda
巻: - ページ: P190-P191