研究課題/領域番号 |
24540310
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
研究機関 | 神奈川大学 |
研究代表者 |
日比野 欣也 神奈川大学, 工学部, 教授 (80260991)
|
研究分担者 |
立山 暢人 神奈川大学, 工学部, 教授 (30102239)
有働 慈治 神奈川大学, 工学部, 助手 (50506714)
|
研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
キーワード | 宇宙線 / 放射線 / モニタリング / 気象変動 / 大気現象 |
研究概要 |
銀河宇宙線強度の増減が地球大気の雲生成に影響を与えているというSvensmarkらが唱える「宇宙線雲仮説」がある。この仮説を検証するためには、地球で観測される銀河宇宙線が惑星間空間擾乱との相互作用により減少する現象「フォーブッシュ減少」と雲生成率の気象データを同時に測定し、それらの間の関係を調べることが重要である。 本研究は、地上(神奈川大学横浜キャンパス)に設置した宇宙線観測装置をベースに、赤外線放射型雲モニターシステムの構築および設置して、雲量や雲高度と宇宙線強度の同時観測を行い、年数回の頻度で起こる「フォーブッシュ減少」期間に低層雲生成率と宇宙線強度の間の関連性を検証することを目的とする。また、将来的には中国との共同でチベット羊八井国際宇宙線観測での高エネルギー宇宙線領域の強度の測定できる約37,000平米の有効面積を持った稠密型空気シャワー観測装置、さらに同観測所内に設置されている名大STE研および理研の中性子モニターなどのデータも含めた総合的なデータ解析を行うことを念頭に、様々なノウハウを蓄積することも目的とする。 本年度は、その全天型赤外放射観測型の雲測定装置を設置して、試験データを取ることを実施目標とした。赤外放射型雲センサー部としては英弘精機(株)のCIR4を導入した。このセンサーは天空4点(東西南北)の天空温度を測ることができる。雲高度の見積は天空温度とセンサ温度との差を換算しており、東西南北の相対的な雲底高度が得ることができるシステムを構築できた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は、全天型赤外放射観測型の雲測定装置を設置して、試験データを取ることを目標とした。赤外放射型雲センサー部としては英弘精機(株)のCIR4を検討した。このセンサーは天空4点(東西南北)の天空温度を測ることができる。雲高度の見積は天空温度とセンサ温度との差を換算しており、東西南北の相対的な雲底高度が得ることができる予定である。 本年度は予定していた全天型赤外放射観測型の雲測定装置を導入でき、実際に雲測定が出来るシステムも構築できており、試験観測に入ることが出来た。今後は長期にわたり試験観測を行い、安定性を確認するとともに、収集した雲観測データの信頼度を検証していく。したがって、本年度の目的はおおむね順調に達成することができたと自己評価している。
|
今後の研究の推進方策 |
今後は、全天型赤外放射観測型の雲測定装置が安定的にデータ収集できることを確認し、収集した雲観測データの信頼度を検証しなければならない。また、宇宙線強度測定装置として、9台のシンチレーション検出器からなる空気シャワーアレイが既に設置済みである。今後はこの装置のデータと連動した試験観測を行う予定である。また、全天型赤外放射観測型の雲測定装置は雨天におけるデータの信頼度がないため、観測時の環境情報を収集するために、雨滴や雨天時のラドンからの放射線を検出して、同時にデータ収集できるようにする予定である。 さらに、雲生成に関するモデルを使って、モンテカルロ・シミュレーションができないか検討を行う。この計算は大規模なシミュレーションが通常は行われているが、実践データを再現できるような簡易シミュレーションが可能かどうかの吟味を行いたい。
|
次年度の研究費の使用計画 |
全天型赤外放射観測型の雲測定装置は、雨天時には観測困難である。そのため、次年度はデータの信頼度を上げるために、雨滴や雨天時のラドンからの放射線を検出できる装置を導入して、システムに組み込みたい。次年度の研究費の大部分は、その雨滴センサーやラドン放射線検出器の開発に充てる予定である。また、本格実験に向けて、中国チベット自治区羊八井国際宇宙線観測所の現地調査のために出張にも研究費を使用する予定である。 尚、今年度、残額が生じた理由としては、予定した国際会議出張を取りやめたことが主な要因である。
|