研究課題
本研究の目的は、加速器で生成されてターゲットから反跳したタングステン不安定核をガスセル中で捕獲し、それにレーザーを照射してオンラインでレーザー分光する手法を開発することである。タングステン原子の同位体シフトをレーザー分光で測定することにより、タングステン同位体間での核荷電半径の変化量を決定することが出来る。この手法を開発する上で最も考慮しなくてはならないのは、生成される不安定核が極微量であるので、非常に高い検出感度が必要なことである。検出感度を評価するため、タンデム加速器でタングステン安定同位体のイオンを加速してガスセルに入射し、ガス中で捕獲されたタングステン原子にレーザーを照射して共鳴蛍光を観測した。イオンビームとガスとの衝突で発生するバックグラウンド光を抑制するため、加速器のイオンビームをパルス化する工夫をした。その結果、共鳴蛍光は観測されたが、不安定核の測定には検出感度が不十分であることが判明した。そこで、それまで準安定状態にあるタングステン原子からレーザー励起していたのを改め、より原子数の多い基底状態から励起することを試みた。基底状態から励起するには短波長のレーザーが必要であるので、それまで使用していた色素レーザーに変えて、青色半導体レーザーを製作した。このレーザーを用いて、レーザーアブレーションで生成したタングステン安定同位体原子を基底状態から励起する試験を行った。その結果、同位体シフトが観測された。今後、加速器でタングステン安定同位体イオンビームを用いて同様の実験を行い、検出感度を評価する。また、レーザーをパルス化して散乱光を抑制することを計画している。
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JPS Conference Proceedings
巻: 6 ページ: 未定
http://wwwndc.jaea.go.jp/Labo/Laser_JP.html