研究課題/領域番号 |
24540312
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構 |
研究代表者 |
杉本 康博 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 素粒子原子核研究所, 講師 (70196757)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 粒子測定技術 |
研究概要 |
平成24年度の目標は、CO2コンプレッサーを用いた循環型の2相CO2冷却器の開発の一環として、オイルフリーのCO2コンプレッサーシステムの開発と、それを用いた循環型冷却システムの設計と製作であった。 オイルフリーCO2コンプレッサーシステムについては、当初はオイルミストを除去するフィルターを用いたシステムを考えていたが、初めからオイルを用いずにCO2を圧縮できるガスブースターという製品があることが分かったため、これを用いた循環型システムを構築することとした。ガスブースターは圧縮空気で駆動されるレシプロ式のコンプレッサーで、駆動に用いられた後の圧縮空気はガスブースターの冷却にも用いられるため、オイルを用いなくても温度上昇を抑えることができる。 我々はこのガスブースターを用いた冷却システムの詳細設計を行った。そのシステムは零下40℃から常温付近の温度までの冷却に対応できるように設計された。R&Dのためのシステムであるため、多くの場所に温度センサー、圧力センサー、湿度センサー、および流量センサーを設置した。これらのセンサーからの情報は20チャンネル入力のデータロガーで読み出され、さらにパーソナルコンピューターに記録される。また、いくつかの重要なセンサーの値は前面パネルのデジタル表示器でも見ることができるようにした。詳細設計の後、実際に冷却器を組上げるところまでを平成24年度に行った。ただしCO2の流量を測定する流量計が高価であったため、その設置は平成25年度に行うこととした。また、冷却器を動作させるのに必要なCO2ボンベ、エアコンプレッサーおよびチラーとの接続配管はまだ終わっていない。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
開発の方針には当初の予定から少し変更があったが、循環型のCO2冷却システムの設計および構築という当初の目標はほぼ達成された。
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度には前年度構築した冷却システムの耐圧テストを行ったのち、チラー、エアコンプレッサ、CO2ボンベをつないで実際に稼働させる。ガスブースターを駆動するエアコンプレッサーの圧力・流量、CO2を液化するためのチラーの温度設定、CO2の圧力設定ならびに充填量などのパラメーターをいろいろ変化させ、この冷却システムの動作を理解し、これらのパラメーターの最適化を行う。また、これらの試験の適当な段階で液化CO2の流量計を組み入れる改造を行う。 次にこの冷却システムを用いて実際に発熱体の冷却試験を行う。冷却配管径および流量の違いによる圧力損失を明らかにしたあと、各種測定器のプロトタイプを実際に冷却してみて冷却対象の温度分布や変形などを測定する。またこれらの冷却試験を通じて冷却システムの長期安定性も調べる。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成24年度には国内・外国旅費を使わなかったために、主にその分が次年度に繰り越された。平成25年度には繰り越し分を合わせ、耐圧テスト用の窒素ガスボンベとそのためのレギュレーターおよび配管、二酸化炭素ボンベとそのためのレギュレーターおよび配管、冷却器とチラー、エアコンプレッサーとを結ぶ配管等を購入して冷却システムを完成させる。さらに測定器プロトタイプ冷却試験のための断熱容器の製作ならびに温度センサーの購入に研究費を使う。また、連携研究者やメーカーとの研究打合せ等に国内旅費を、国際会議での情報収集や成果発表のための外国旅費も使用する。
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