研究課題
平成26年度は、強い交流外場下での非平衡アンダーソン模型の電流ノイズに関して、非平衡グリーン関数による定式化およびバーテックス補正の表式を導出を行った。ハートリー近似による交流外場下の電流ゆらぎについて計算を行うとともに、オンサーガー関係式の非平衡状態への拡張を利用して有効温度を定義し、計算結果が有効温度を用いてよく理解されることを示した。並行して、量子ドットと量子ホール効果のエッジ状態を利用した単一電子注入における位相緩和の効果を、量子光学の分野で用いられるinput-output理論を用いて計算した。以上の2つの研究結果は原著論文としてまとめられ出版された。これらの成果は、メゾスコピック系の動的現象という新しい研究テーマに対して、理論的な側面から光をあてる重要な成果であると考える。このほかに、ベーテ仮説解を用いた近藤状態の量子クエンチ現象の解析、フォノン熱浴による近藤効果の非オーミック熱浴への拡張などの研究が進行中であるが、年度内に論文を出版するにいたらなかった。共同研究者の阪野塁は高バイアス領域の非平衡状態について、非平衡グリーン関数を用いた厳密な計算手法を確立し、論文として公表した。全体として、当初掲げた数値計算手法の開発そのものは、その基礎づけまでは完了したものの、実際の実装にはさらなる研究が必要であることが判明した。そこで、最終年度においては、より実行可能な研究テーマへの展開をはかった結果、十分な成果を挙げたものと考える。
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Phys. Rev. B
巻: 91 ページ: 165302(1-12)
10.1103/PhysRevB.91.165302
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10.1103/PhysRevB.89.205318
http://www.issp.u-tokyo.ac.jp/maincontents/organization/labs/kato_group.html
http://kato.issp.u-tokyo.ac.jp/