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2013 年度 実施状況報告書

高強度中赤外光を用いたタンパク質の光誘起構造ダイナミクス研究

研究課題

研究課題/領域番号 24540323
研究機関大阪大学

研究代表者

中村 亮介  大阪大学, 産学連携本部, 特任講師 (70379147)

キーワード超高速分光 / タンパク質 / 反応制御
研究概要

タンパク質の超高速反応は、発色団(反応分子)と周囲のアミノ酸残基との水素結合ネットワークによって巧みに制御されている。本研究では、光受容タンパク質の光異性化反応途中において、高強度中赤外光を照射することで、水素結合ネットワークの一部を選択的に励振する。その後の光反応過程や振動モードの変化を観測することで、超高速反応を実現しているプロトン移動と構造異性化との協調機構を解明することを目的としている。
本年度は、昨年度に構築した「可視-中赤外高精度マルチパルス分光システム」を用いて、光受容タンパク質PYPの反応中間体の研究を行った。まず、初期状態に対して、高強度中赤外光を照射し、電子状態の変化をタイミング制御された可視光でプローブした。その結果、これまで報告されている反応中間体(GSI)が、振動励起によって生成することが明らかとなった。GSIは初期状態とは異なる構造であると考えられていることから、振動励起による構造変化誘起の可能性が示唆される。この結果は、次年度に行う中赤外光のチャープ制御の研究によって、より明らかになると期待している。
次に、可視光によって光反応サイクルを開始させ、反応途中において高強度中赤外光を照射し、選択的振動励起を行う研究にも着手した。第1中間体の生成量を過渡吸収によってモニターしている状態で、プロトン移動や構造異性化を生じると思われるタイミングで、関与する振動モードを中赤外光によって励起した。現時点では、振動励起の効果を確認するには至っていない。本実験をより効率的に進められるように、中赤外光の波長チューニングを自動で行えるように改良を進めている。次年度(最終年度)は、チャープ制御の効果と合わせて、網羅的に実験解析を進める。
最後に、次年度に効率よく研究を進めるため、中赤外光評価システムの構築を前倒しで着手した。必要な機器は、前倒し請求によって購入した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本年度は予定通り、昨年度に構築した「可視‐中赤外高精度マルチパルス分光システム」を用いて、光受容タンパク質の光反応サイクルに関する研究を行った。また、分光測定と装置改良を相補的に行った。高強度中赤外光照射による反応中間体の生成など、着実に成果を出すことができた。これらの成果は、次年度(最終年度)に予定している中赤外光に対するチャープ制御の研究へと展開される。また、本年度は前倒しをしてパルス評価システムの構築を始めた(必要な機器は前倒し請求を利用して購入)。以上のことから、おおむね順調に進展していると自己評価できる。

今後の研究の推進方策

当初の予定通り、チャープ生成システムを構築し、高強度中赤外光に対するチャープ制御を行う。チャープ制御された中赤外光を、光受容タンパク質の初期状態および光反応過程において照射し、その効果を検証する。得られたチャープ効果のデータから、各振動モードの非調和性の消長を解析し、超高速反応を実現しているプロトン移動と構造異性化との協調機構を明らかにする。これは本研究で掲げた最終目的であり、これまでの進捗状況から達成できると見込んでいる。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2014

すべて 学会発表 (2件)

  • [学会発表] Vibrational Dynamics in Photoactive Yellow Protein Revealed by Mid-IR Pump / Visible Probe Spectroscopy2014

    • 著者名/発表者名
      中村亮介、濱田格雄
    • 学会等名
      19th International Conference on Ultrafast Phenomena
    • 発表場所
      沖縄コンベンションセンター
    • 年月日
      20140707-20140711
  • [学会発表] 光受容タンパク質の光誘起構造変化と水素結合ダイナミクス2014

    • 著者名/発表者名
      中村亮介、濱田格雄
    • 学会等名
      日本物理学会第69回年次大会
    • 発表場所
      東海大学
    • 年月日
      20140327-20140330

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公開日: 2015-05-28  

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