研究課題/領域番号 |
24540331
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 兵庫医科大学 |
研究代表者 |
福田 昭 兵庫医科大学, 医学部, 准教授 (70360633)
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研究分担者 |
寺澤 大樹 兵庫医科大学, 医学部, 助教 (90589839)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 量子ホール効果 / 2層系 / K-T転移 / 擬スピン / 半量子渦対 |
研究概要 |
2層系ν=1量子ホール状態は、巨視的なコヒーレンスを持つ擬スピンのX-Yモデルで記述され、半量子渦対の結合-乖離で引き起こされる2次元超流動転移であるKosterlitz-Thouless(K-T)転移が予想されている。本研究では、2層系ν=1量子ホール状態におけるK-T転移のダイナミクスや発現機構を、電気伝導測定や、マイクロ波を用いて解明することである。 本年度は、2層系ν=1量子ホール状態における量子ホール効果の発現温度を、電子密度の関数あるいは2層間の電子密度差の関数として測定を行った。その結果、発現温度は、電子密度の関数として低くなることが分かった。また、理論計算による半量子渦対の乖離であるK-T転移の発現温度とも良い一致を示した。 さらに、面内磁場を印加した場合の発現温度の傾斜角依存性を測定した。その結果、ソリトン格子状態が生じる整合相-非整合相付近で、発現温度にも異常が見られ、メロン対の乖離で引き起こされた擬スピン・ソリトンによるものである可能性が高いことがわかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
2層系ν=1量子ホール状態における発現温度の観測に成功し、2層系ν=1量子ホール状態でKosterlitz-Thouless転移が実際に生じている可能性が高いことが、実際に確認されたから。
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今後の研究の推進方策 |
現在までは、トンネリング・エネルギーが比較的小さい(~1K)2層系半導体試料を用いて、電気伝導測定を中心とした測定を行っているが、今後は、 1)トンネリング・エネルギーを変化させた(非常に大きい試料や、非常に小さい試料)試料を用いて、同様な電気伝導測定を行い、発現温度の観測を行う。 2)2層系ν=1量子ホール状態の複合フェルミオン版である2層系ν=1/3分数量子ホール状態においても、同様な発現温度の測定を行う。 3)2層系ν=1量子ホール状態にマイクロ波を印加し、量子渦対を電場で振動させることにより、発現温度の変化を見る、「動的Kosterlitz-Thouless転移」の探索を行う。 などの実験を行う予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度は、引き続き電気伝導測定を行うのに、測定系の整備および消耗品が必要であるほか、マイクロ波を導入するのに、マイクロ波部品及び消耗品が必要である。また、兵庫医科大学においても超低温測定が行えるようにするため、希釈冷凍機の整備費用が必要である。さらに、研究成果を発表するため、国内及び国際学会参加費用及び旅費が必要である。
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