研究課題
銅単結晶表面((110)面)から放出される非弾性光電子スペクトルの詳細な解析を行うことができた。密度汎関数摂動論に基づいて電子ー格子相互作用を計算することにより、この表面から放出されるレーザー励起非弾性光電子のスペクトルに現れるステップ構造が、サブサーフェスフォノンに由来することを明らかにした。また、予備的な実験からピコ秒レーザーの励起では系の十分な状態変化を引き起こすこと難しい可能性があることも明らかとなってきた。そのためフェムト秒のレーザーシステムを構築することを目的として光学系の設計を行った。
2: おおむね順調に進展している
理論的な理解は極めて大きな前進をみた。定量的な解析について、従来その枠組みすら明らかではなかったが当該年度の研究により解析のプロトコルを手に入れることができた。また、予備実験、計算を繰り返す中で理解もすすみ、いくつか越えなければいけない困難をより具体的に特定することができた。研究を進めていくという観点でいえば、これらも進展に寄与すると考えることができるだろう。しかしながら一方で、装置の致命的な故障に見舞われた。そのため新たな実験データを獲得することが殆どできなかった。自己評価としてはおおむね順調に進展していると考えている。
今年度は最終年度ということもあり、予定していた測定を進めていく。金属単結晶表面だけでなく、金属表面と単分子の間にバッファー層をはさみむことによって、分子の拡散ダイナミクスがどのように変化するのか追跡する予定である。バッファー層は金属単結晶表面に形成する酸化物薄膜や、h-BNおよびシリセン等のハニカム格子を想定している。
すべて 2014 2013
すべて 雑誌論文 (6件) (うち査読あり 6件) 学会発表 (19件) (うち招待講演 2件)
Surf. Sci.
巻: 623 ページ: 25-28
10.1016/j.susc.2013.12.013
J. Phys. Chem. C
巻: 117 ページ: 21832-21837
10.1021/jp406317t
Phys. Rev. B
巻: 88 ページ: 22430-1/7
10.1103/PhysRevB.88.224301
Phys. Rev. Lett.
巻: 110 ページ: 076801-1/5
10.1103/PhysRevLett.110.076801
巻: 608C ページ: 297-301
10.1016/j.susc.2012.10.022
表面科学
巻: 34 ページ: 421-425