研究課題/領域番号 |
24540343
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研究機関 | 国際基督教大学 |
研究代表者 |
平島 大 国際基督教大学, 教養学部, 教授 (20208820)
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研究分担者 |
武藤 哲也 島根大学, 総合理工学研究科(研究院), 准教授 (50312244)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 遍歴強磁性 / ハーフメタル強磁性 / 電子相関 / 保存型近似 / スピン波 |
研究実績の概要 |
これまでに開発してきた理論手法(自己無撞着2次摂動近似、自己無撞着T行列近似)を、代表的なハーフメタル強磁性体である、NiMnSbに適用した。RPAに比べるとより実験結果に近いキュリー温度が得られた。また、自己無撞着T行列近似によって、連続的な転移が見出された。極低温ではマイノリティスピンの状態密度にギャップ的な構造が表れるものの、いわゆる非準粒子的な効果(インコヒーレント部分からの寄与)によって、状態密度はフェルミ面においても厳密にはゼロにならない。さらに温度を上げていくと、磁化は有限に残るものの、フェルミ面における状態密度は温度ともに成長し、「ハーフメタル」性は急速に失われていく。また、先行研究においては、非局所的な自己エネルギー効果がかなり効くことが指摘されていたが、本研究では非局所的な効果は小さく、たとえば、局所的相関効果のみ考慮した場合でも、キュリー温度はほぼ不変であることが確かめられた。また、強相関ボース系における相転移に対する量子効果の研究を行い、その影響を定量的に明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初計画していた研究はほぼ予定通りに進んだが、NiMnSbにおける非局所効果など、先行研究との相違の理由を詰めるために、やや時間を要した。また、24-25年度にかけて行った、結晶の表面状態における研究も予想以上に進展しており、当初の計画より1年間研究を延長することにした。
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今後の研究の推進方策 |
NiMnSbにおける研究はほぼ終了したので、細部の検討を続けながら、論文執筆を行う。今年度前半のうちには論文投稿の予定である。また、結晶表面状態の研究についてもひとまず適当なところで研究をまとめ、出きれ今年度前半、遅くとも今年中に論文投稿する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
予想以上の研究進展などのために論文完成が遅れ、26年度内に論文出版が間に合わなかった。そのため、論文投稿のために計上していた予算の使用ができなかった。
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次年度使用額の使用計画 |
27年度内の論文2編を出版する。その投稿料のために、予算を使用する。
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