研究課題
ハーフメタル強磁性体NiMnSbに対して、摂動論的な手法(自己無撞着T行列理論)を適用して、転移温度、強磁性体状態における非準粒子的状態(インコヒーレント状態)およびその磁化の温度依存性への効果などについて研究した。これまで、磁化の温度依存については、非準粒子励起やスピン揺らぎの重要性が議論されてきたが、これらに加えて、化学ポテンシャルの温度変化も大きな定量的な影響を与えることを見出した。温度ゼロでは化学ポテンシャルは(一方のスピン状態の)ギャップ中にあるが、その位置が有限温度における磁化の温度依存を決める際に極めて重要になる。単純に言えば、なるべく深い位置に化学ポテンシャルがあれば、有限温度においても高磁化状態は安定である。この研究成果の発表後、同じモデルを用いて、スピン揺らぎが磁化の温度変化に与える影響についての共同研究を始めた。スピン偏極した電流を取り出すためには、表面状態の考察も重要である。本研究では、グラフェンのジグザグ端におけるバンド幅ゼロの局在表面状態と同様の状態ががより広いバンド構造でも見出されることを示した。この状態はスピン偏極しやすいという性質をもち、スピン偏極した電流の生成および取り出しにも有効である可能性がある。
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すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 備考 (1件)
Jounal of the Physical Society of Japan
巻: 85 ページ: 44705(9 pages)
http://dx.doi.org/10.7566/JPSJ.85.044705
Journal of the Physical Society of Japan
巻: 84 ページ: 124707(5 pages)
http://dx.doi.org/10.7566/JPSJ.84.124707
http://researchers.icu.ac.jp/Profiles/10/0000981/profile.html