研究課題/領域番号 |
24540344
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研究機関 | 三重大学 |
研究代表者 |
中村 浩次 三重大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (70281847)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 表面界面磁性 / 電界操作 / 第一原理】計算 |
研究実績の概要 |
1.MgO/Fe界面で生じる界面垂直磁気異方性の発現やボロン不純物による界面垂直磁気異方性の消失、外部電場印加による結晶磁気異方性エネルギーの変化、Fe基3d遷移金属超薄膜や磁性有機金属分子系における巨大な結晶磁気異方性の発現の可能性を明らかにした。
2.フリースタンディングFe薄膜やMgO基板上のFe単原子層膜に対して、外部電場下における磁気依存伝導特性の計算を可能とし、引き続き、反強磁性体/強磁性体薄膜における異常ホール効果の計算にも着手した。
3.ノンコリニア磁気構造にも対応したフォノン分散の第一原理FLAPW 法の開発に着手し、一方、外部電場下におけるCu基板上のFe二原子層膜のfct相とbct相の構造安定性を解析した。さらに、スピンスパイラル構造の全エネルギー計算に基づき、遷移金属薄膜系におけるジャロシンスキー・守谷相互作用力の計算方法の開発に着手した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
1. Fe/MgO界面を中心とした界面構造安定性と外部電場印加による結晶磁気異方性に関する計算を計画通り実施した。計画以上の進展として、①3d遷移元素のみからなる巨大な垂直磁気異方性を示す遷移金属薄膜の提案、②有機金属分子(フタロシアニンやメタロセン)の結晶磁気異方性の考察、③外部電場印加によるキュリー温度の変化を明らかにした点が挙げられる。
2.外部電場下における表面界面系に対する電気・光伝導度の第一原理FLAPW法を開発し、フリースタンディングFe薄膜やMgO基板上のFe単原子層膜に適用するなど、計画通り実施した。また、本計算手法の展開として、異常ホール効果やスピンホールの第一原理計算手法を開発した点が挙げられる。
3.外部電場下におけるCu基板上のFe二原子層膜の構造安定性やノンコリニア磁気構造にも対応したフォノン分散の第一原理FLAPW 法の開発に着手するなど、計画通り実施した。計画以上の進展として、スピン軌道相互作用を考慮したスピンスパイラル構造の第一原理計算手法を開発した点が挙げられる。
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今後の研究の推進方策 |
本研究の主課題である電界効果の物理的起源の解明をほぼ終え、現在、電界によるCu基板上Fe二原子層膜の構造相変態に関する最終課題に取りかかっている。また、ノンコリニア磁気構造にも対応したフォノン分散の第一原理FLAPW 法を完成させる。
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次年度使用額が生じた理由 |
物品費や旅費等を節約したところ、僅かに残額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
成果発表を行うための旅費等で使用する。
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