研究概要 |
当該年度には、秩序型ReO3構造のZrMF6について、一連の化合物を合成し、その基礎物性を測定した。また、その前年度から継続して研究を行っている変型パイロクロアAV2F6およびダブルペロブスカイトA2BVF6に関しても、質を向上させた試料について、研究を行った。さらに、これらの研究の中で、新物質である秩序型変型パイロクロアA2BTi3F12、A2BV3F12を発見し、これらの研究も開始した。 秩序型ReO3構造のZrMF6は、M=Ti,V,Cr,Mn,Fe,Co,Niについて、研究を行った。その結果、M=Ti,Coでは、スピンは反強磁性的に相互作用しているが、それ以外のものでは、その相互作用は非常に小さいことが明らかになった。また、M=Ti,Coについては、磁場によって安定化される磁気秩序状態を低温で形成することが分かった。 変型パイロクロアAV2F6については、単結晶を用いた物性測定を行うことにより、前年度の問題となっていた再現性の問題をクリアした。CsV2F6においては、電荷秩序の形成に伴い、構造が変化する。一方RbV2F6においても構造変化が起こるが、これはイオン間の隙間の大きさが重要な役割を担っていることが分かった。ダブルペロブスカイトA2BVF6に関しては、単結晶においては組成ずれが起こるが、多結晶では抑制されることが分かり、これらを用いた物性測定が進行中である。 新物質である秩序型変型パイロクロアA2BTi3F12、A2BV3F12は、単結晶構造解析を行い、TiまたはVがカゴメ格子を形成している磁性体であることが明らかになった。これらの物性測定も進行中である。
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