研究課題
本研究では、固体物質中で生じる微小・局所的な電気的・磁気的変化を、原子核が持つ核電荷や核スピンをプローブとして調べる(具体的には核四重極共鳴(NQR)と核磁気共鳴(NMR)測定)ことを目的としている。その他、必要に応じて磁化率測定などの巨視的測定やSPring-8を用いたX線吸収分光測定などを行った。平成26年度には以下のような成果を得て、論文や国内外学会発表等によって報告を行った。ユーロピウム系化合物EuPtPは、約240Kと200KでEu価数が2価と3価に秩序を示すと考えられている物質であるが、その秩序構造をP-NMR測定を行うことによって明らかにした。また、同物質は約9K以下で磁気秩序を示すが、その秩序構造についてもEuの直接NMR/NQR測定とゼロ磁場下P/Pt-NMR測定によって明らかにした。ウラン化合物URu2Si2は、17.5Kで秩序機構が明らかでない相転移(隠れた秩序(HO)と呼ばれる)を、1.5K以下では超伝導を示す。本研究では、この物質と非磁性参照物質(ThRu2Si2とLaRu2Si2)とをNMR測定によって比較し、URu2Si2のHO相における磁気揺らぎはイジング性が強く、そうした状況下で超伝導が出現することを明らかにした。また、同物質のU価数を同定する実験報告が少ない中で、Ru-NQRによって非磁性参照物質との比較を行い、U-5f電子は高温では+4価に近い局在状態にあり、低温になるにつれて遍歴性を増すことを示す結果が得られた。サマリウム化合物SmB6について、圧力効果とSmに対するLa,Yb置換効果をNMR測定によって調べ、同物質における半導体的性質が現れる起源について考察した。また、X線吸収分光測定によってSm価数の温度・圧力依存性を調べた。
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すべて 雑誌論文 (10件) (うち査読あり 10件、 オープンアクセス 6件、 謝辞記載あり 10件) 学会発表 (17件) 備考 (1件)
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